死亡保険を受け取ると税金がかかる?
受け取った死亡保険金には、必ず税金がかかります。税金の種類は、保険料の支払人と保険金の受取人によって所得税、相続税、贈与税のいずれかに分類されます。どのような関係性か、図表1を見ていきましょう。
【図表1】
被保険者 | 保険金受取人 | 保険料の負担者 | 税金 |
---|---|---|---|
A | B | B | 所得税(一時所得または雑所得) |
A | B | A | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
出典:国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」より筆者作成
亡くなった人(被保険者)との関係性により、税金の分類は変わります。税金の種類によって納税額が違うため、死亡保険金の受け取りの際は注意が必要です。それぞれの税金の内容と課税額について、本項で解説します。
死亡保険を受け取ると所得税がかかる場合
所得税として分類されるのは、死亡保険の受取人・保険料負担者が同じケースです。例えば被保険者が夫で、保険料負担者と受取人が妻であるなどのケースが想定されます。
死亡保険金を一時金として受け取った場合には、「一時所得」として税金の計算をします。一時所得で所得税の課税対象となるのは、以下の計算で導き出された金額です。
(受け取った死亡保険金−支払った保険料−特別控除50万円)÷2
支払った保険料や特別控除の50万円を差し引いて2で割るため、課税対象額は少なくなります。年金形式で死亡保険金を受け取った場合は、「雑所得」としての扱いです。その場合は原則として源泉徴収されます。
死亡保険を受け取ると相続税がかかる場合
死亡保険金に相続税がかかるのは、被保険者と保険料負担者が同じで、死亡保険金の受取人が違う場合です。例えば、夫が契約者、被保険者で保険料の負担者であり、死亡保険金の受取人が妻というケースです。死亡保険金に相続税がかかる場合、以下の計算で出された額が非課税額となります。
500万円×法定相続人数
法定相続できるのは、民法で定められた相続の権利がある人のことで、配偶者と血族を指します。配偶者は必ず相続人となり、そのほか、第一順位から第三順位の人までが法定相続人です。法定相続人の順位については図表2を見ていきましょう。
【図表2】
優先順位 | 続柄 |
---|---|
第一順位 | 子ども[すでに死亡している場合は、その子どもの直系卑属(子どもや孫など)] |
第二順位 | 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) |
第三順位 | 死亡した人の兄弟姉妹(すでに死亡している場合は、その人の子ども) |
出典:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」より筆者作成
配偶者の相続は最優先で、それ以外では子どもの優先順位が1番です。同じ順位の人がいれば、全員が相続人となります。しかし配偶者以外は順位が上の人が1人でもいた場合、その下の順位の人は相続人にはなれません。
死亡保険を受け取ると贈与税がかかる場合
被保険者・保険料負担者・保険金受取人がすべて違うケースでは、受け取った死亡保険金が贈与とみなされ、贈与税がかかります。被保険者が夫、保険料負担者が妻、保険金受取人が子どもといったケースが考えられます。
贈与税の非課税枠は年間110万円までしかなく、死亡保険金の額によっては税金が多くかかってしまう可能性が高いです。
死亡保険を受け取る際の節税対策
死亡保険金を受け取る際の節税対策として、贈与税となるケースを避けるとよいでしょう。贈与税は非課税額が少なく、多くの税金を納めなくてはならない可能性が高いからです。
被保険者が生きている間であれば、契約者により死亡保険の受取人は変更可能で、人数を増やすこともできます。節税対策のため、死亡保険金の受取人は、相続税や所得税に分類されるよう変更しておきましょう。
死亡保険の受け取りには税金がかかる
死亡保険金を受け取る際は、所得税・相続税・贈与税のいずれかがかかります。それぞれ非課税枠があるものの、それを超えると税金を納めなくてはなりません。
そのため、死亡保険の被保険者が生きているうちに、もっとも税金がかかる可能性が高い贈与税扱いとなることを避けられるよう、受取人を指定するとよいでしょう。事前に受取人が誰なのか知っておくことが、死亡保険金の節税につながります。
出典
国税庁 No.1750 死亡保険金を受け取ったとき
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー