加給年金制度の概要と停止・経過措置
まず、加給年金の概要と停止・経過措置について、見ていきましょう。
加給年金の概要
加給年金とは、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある方が65歳になった時点で、被保険者によって生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合、支給される年金に加算されるものです。
対象者と加給年金額、年齢制限は図表1の通りです。
【図表1】
出典:日本年金機構 加給年金額と振替加算
生計を維持されているとは、原則以下の要件をいずれも満たす場合をいいます。
・生計を同じくしていること
・収入要件を満たしていること(前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満)
年金の扶養手当ともいわれ、年の差婚で受け取れる場合があるものですが、前述のように経過措置期間ですので、その内容を見ていきましょう。
停止・経過措置
令和4年4月以降、配偶者の老齢厚生年金、退職共済年金を実際に受け取る権利がある場合、配偶者加給年金額は停止されます。しかし、以下の1および2の要件を満たす場合の支給は継続されます。
1.令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されている
2.令和4年3月時点で、加給年金の対象者である配偶者が、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上ある老齢厚生年金の受給権を有しており、全額が支給されている
この点はしっかり押さえておきましょう。
加入年金とのリスク
次に、加給年金のリスクについて紹介します。
年金の加給年金の対象者となっている配偶者や子が一定の条件に該当した場合、加給年金は受けられなくなります。代表的な条件は、以下の通りです。
・亡くなったとき
・離婚、婚姻関係を解消したとき
・年金を受け取っている方に生計を維持されなくなったとき
この条件に当てはまった場合、加給年金は受給できなくなりますので、過度に加給年金をあてにするのはリスクがあります。特に配偶者が亡くなった場合は、残された方の老齢厚生年金が主な収入になります。この場合は、収入が大きく低下してしまうかもしれません。
年の差婚の場合、年齢に注意が必要です。具体例は以下の通りです。
<夫65歳、妻58歳>
加給年金は、妻が65歳まで受け取れます。しかし、夫が65歳になった時点で妻が60歳未満だったとき、妻は60歳まで国民年金を支払う義務が発生します。
このように年の差婚では加給年金は収入だけでなく支出も増えてしまいます。
また、経過措置が今後どのようになっていくかは不透明で、その期間中だから大丈夫という認識は危険です。資産運用などで、資金を築いておく必要があるでしょう。
まとめ
本記事では、年金の扶養手当ともいわれる加給年金について、概要と経過措置、リスクを紹介しました。年の差婚で、加給年金をあてにしているのであれば十分注意してください。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 生計維持
厚生労働省 加給年金制度
日本年金機構 老齢厚生年金を受けている方の配偶者が亡くなったり、離婚したりした時
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー