学生時代の国民年金保険料の支払いを猶予する「学生納付特例」とは
学生納付特例制度とは、前年の所得が一定水準以下の学生に対し、申請によって在学中の年金保険料の納付が猶予される制度です。学生納付特例制度を利用するための所得基準は、以下のとおりです。
・128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
※対象となるのは申請者本人のみ
この特例制度の対象は、以下の種類の学校に在学する方です。
●大学
●大学院
●短期大学
●高校
●高等専門学校
●特別支援学校
●専修学校および各種学校
●一部の海外大学の日本分校
※夜間・定時制課程、通信課程の方も含む
この制度が適用されると、在学期間中の国民年金保険料支払いの負担が軽減されます。
学生時代に納付猶予された国民年金保険料を支払う方法「追納」について
学生納付特例制度を適用して国民年金保険料の納付が一時的に猶予された場合、その特例期間は将来の年金を受け取るための受給資格の期間としてカウントされます。ただし、将来の年金額には反映されません。
そのため、国民年金保険料が猶予される特例期間があった場合、その後の全期間にわたって国民保険料を納付し続けても、国民年金を満額で受け取ることは難しくなります。
ただし、特例期間から10年以内であれば、後から国民年金保険料を納める(追納)ことが可能です。追納を行うことで、将来の国民年金受給額が満額に近づきます。
追納の申請方法
国民年金保険料の追納を行う際には、年金事務所の窓口または郵送を通じて申請を行う必要があります。その後、厚生労働大臣の承認を得たあとに、納付書を受け取り、その納付書を使用して追納手続きを行います。
追納の申請書は、日本年金機構の公式サイト「国民年金関係届書・申請書一覧」よりダウンロードできます。
本人が窓口で申請する場合は、マイナンバーカード(個人番号カード)の提示が必要です。マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーが確認できる書類(通知カードなど)と身元確認書類(運転免許証など)の用意が必要です。
学生時代に納付猶予された国民年金保険料を追納するメリット・デメリット
学生時代に納付猶予された国民年金保険料を追納するメリットは、将来、受け取る年金額が増えることです。しかし、通常の国民年金保険料とは別に追納することになるため、家計の負担が増し、他の支払いに影響が出る可能性があります。
追納のメリットとデメリットを把握した上で、慎重に判断することが大切です。
本項では、学生時代に納付猶予された国民年金保険料を追納するメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
国民年金保険料を追納するメリットは、将来受け取る年金額が満額に近づくことです。
学生納付特例制度の適用期間は、受給資格期間としてはカウントされますが、年金額には反映されません。過去にさかのぼって国民年金保険料を支払うことで、将来の年金受給額を増やすことが可能です。
さらに、追納分に関しても社会保険料控除によって、所得税などが軽減されます。
デメリット
国民年金保険料を追納する際のデメリットは、家計の負担が増加することです。
通常の国民年金保険料に加えて、追納分の支払いが必要になるため、収入に対する国民年金保険料の負担が増えることになります。この増加した支出が、家計の他の部分に影響を及ぼす可能性があります。
追納を検討する際には、慎重な計画が必要です。
学生時代に納付猶予された国民年金保険料を追納する際の注意点
国民年金保険料の追納は、学生納付特例制度の承認期間から10年以内に限られています。そのため、特例期間から10年以上経過している場合は、追納ができなくなるため、注意が必要です。また、追納を行う際には、原則として特例期間内の古い期間から順に支払うことになります。
学生納付特例期間の追納を検討する場合は、「10年以内」という期限を意識して、早めに手続きを行うことが重要です。
学生時代に納付猶予された国民年金保険料を追納することで受給額を満額に近づけることが可能
学生時代に納付猶予された国民年金保険料を追納することで、将来の年金受給額を増やすことができます。その上、追納した分は社会保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減が見込めます。
ただし、追納が可能となるのは、学生納付特例期間から10年以内に限られるので注意しましょう。学生納付特例が適用されていた方は、ぜひこの機会に追納を考えてみることをおすすめします。
出典
日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
日本年金機構「学生のみなさまへ」
日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー