国民健康保険(国保)は、健康保険(健保)と違って、保険料の労使折半はないので、国保の保険料の負担はけっして軽くありません。   また、健保と違い保険料が天引きされるわけではないので滞納するリスクがあります。令和4年では対象となる全世帯数の11.4%が保険料を滞納しています。   滞納した場合はペナルティーがありますので、滞納する前に軽減制度を活用しましょう。

国民健康保険の概要

わが国では、複数ある公的医療制度のうち、いずれかの医療保険制度に加入しなければなりません(国民皆保険制度)。
 
国保の保険者は都道府県および市区町村です。被保険者は市区町村に住所のある方で、自営業者、無職者、定年退職者など他の公的医療保険に加入していない方です(75歳になると後期高齢者医療制度に移行します)。
 
なお、国保には健保と違って「被扶養者」という概念はありません。一人ひとりが被保険者です。国保で受けられるサービスは、ほぼ健保と同じです。健保には後述する特別療養費はありません。
 
働けない場合の給与の補てんである傷病手当金と出産手当金は国保では任意給付となっています。市区町村の国保では通常ほとんど実施していません。サービスを受けたとき、窓口での自己負担は健保と同じです。
 

国民健康保険の保険料

国保の保険料は、都道府県が定める標準保険料率を参考に市区町村が決めます。保険料は、医療分保険料、後期高齢者支援分保険料、介護分保険料で構成されます。
 
それぞれ、全世帯が平等に負担する「平等割」(必須)、前年の所得金額に応じて負担する「所得割」(必須)、被保険者の人数に応じて負担する「均等割」を計算し、それらの合計でその世帯の保険料額が決まります。保険料は、世帯主が同じ世帯の被保険者の分をまとめて保険者に納付します。
 
なお、固定資産税額に応じて負担する「資産割」も組み合わせて、保険料を算出する自治体もあります。
 

国民健康保険の保険料が払えないとき

国民健康保険の保険料が払えないときは、事情に応じて軽減・減免等の仕組みがあります。主なものを見てみましょう。
 
災害、病気、事業の休廃止などの理由で保険料を期限までに納付できないときは、一定の期間、納付の猶予が認められる場合があります(要申請)。災害、所得の減少、収容・拘禁の理由により保険料の支払いが困難な世帯については、減免制度もあります(要申請)。
 
世帯主や国民健康保険加入者等の所得が一定額以下の世帯に対して、収入状況に応じて均等割額等が減額(2割減・5割減・7割減)される制度があります(申請不要)。対象の世帯には減額後の税額で納税通知書が送られます。
 
また、解雇等を理由に離職した方(雇用保険の特定受給資格者および特定理由離職者)は、一定の条件に該当すると保険料が軽減される場合があります(要申請)。介護離職者は、特定理由離職者に該当するので知っておくとよいでしょう。
 

国民健康保険の保険料を滞納した場合

国保の被保険者には保険料の支払いが大変な非正労働者、失業者、無職者なども多く、保険料を滞納するケースが少なくありません。国保の対象世帯のうち保険料を滞納している世帯数の推移を見ると次のようになっています。


平和28年:15.9%
平成29年:15.3%
平和30年:14.5%
令和元年:13.7%
令和2年:13.4%
令和3年:11.9%
令和4年:11.4%

滞納した場合、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて、延滞金が保険料額に加算されます。また、督促状が送付され、電話催告センターからの電話や文書による催告も行われます。
 
督促状が送付されても滞納が続く場合、法律に基づいて勤務先への給与照会や預貯金・生命保険・不動産等の財産調査を行い、差し押さえなどの滞納処分が行われる場合があります。
 
保険証については、滞納の状況により6ヶ月以内の範囲で有効期限の短い「短期被保険者証」に切り替わります。医療機関に支払う自己負担金など、通常の保険証と変わりません。
 
「短期被保険者証」の交付を受けている世帯に、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子どもがいる場合、当該子どもには被保険者証の有効期間は6ヶ月以上です。
 
さらに、特別な理由がなく、1年以上保険料の滞納が続くと、「被保険者資格証明書」に切り替わります。「被保険者資格証明書」に切り替わると医療機関に受診の際、医療費を全額自己負担しなければなりません。
 
「被保険者資格証明書」を医療機関に提示し、全額自己負担した医療費は、申請することにより7割相当(3割負担の場合)が、特別療養費として還付されますが、支給時に滞納保険料に充当されます。
 
なお、「被保険者資格証明書」に該当した世帯に18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子どもがいる場合、子どもには「6ヶ月の短期被保険者証」が交付されます。
 

まとめ

国民健康保険の保険料の納付しなかった場合、督促・滞納処分を受けたり、医療を安く受けることができなくなる場合があります。保険料が払えない場合は、早めに市区町村の担当窓口に相談に行き、必ず免除や減額の手続きをしましょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況について
厚生労働省 短期被保険者証の交付に際しての留意点について
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。