20歳以上60歳未満で日本国内に居住している方は国民年金に加入する必要がありますが、大学生などでまだ就労していない場合は国民年金保険料を支払うことができないことがあります。   こうした場合、「学生納付特例制度」を利用することで年金保険料の納付を猶予することができます。猶予した保険料は後に追納することで保険料納付済期間に含めることができます。   しかし、追納しなかった場合は将来受け取る年金額が減少してしまいます。仮に20歳から22歳まで2年間保険料を未納のままにした場合、年金額はどれくらい減ってしまうのでしょうか。

減少するのは老齢基礎年金のみ

日本の公的年金制度は階層構造になっています。1階部分に国民年金、2階部分に厚生年金、3階部分に企業年金などの私的年金、といったように現役時代に加入していた年金制度が多いほど将来受け取れる年金額も大きくなります。
 
保険料免除による年金減額の影響は1階部分の老齢基礎年金、老齢基礎年金にのみ影響し、障害基礎年金、遺族基礎年金には影響しないので、遺族基礎年金や障害基礎年金は減額されません。
 

老齢基礎年金の減少額は?

老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳までの480ヶ月間保険料を支払った場合に満額支給されます。
 
老齢基礎年金の額は、物価水準などを勘案して毎年変更されています。2023年度の給付額は月額6万6250円で、ここから未納期間分の減額が行われます。
 

【保険料が2年間(24ヶ月)未納である場合(2023年度の給付額より)】

・6万6250円×(480ヶ月−免除期間24ヶ月)÷480ヶ月=月額約6万3000円(3250円減額)
 

追納と未納の損益分岐となる年齢は?

2023年度の年金保険料は月額1万6520円ですので24ヶ月で約39万6500円です。これを老齢基礎年金の給付額が上回るには122ヶ月必要になります。
 
65歳から老齢基礎年金の受給を開始した場合はおよそ77歳で損益分岐を上回りますので現在の平均寿命を勘案すると追納のメリットが大きいといえるでしょう。
 

保険料免除制度を利用した場合は減少額が小さくなる

経済的な理由などで、保険料を納付することが困難な場合は自己負担額を減少させる申請免除を利用することができます。
 
基礎年金の免除制度には「全額免除」、「4分の3免除」、「半額免除」、「4分の1免除」の4種類があります。全額免除の場合は、年金保険料の半分が国の負担となっています。
 

【全額免除期間が2年間で追納していない(未納)の場合】

・6万6250円×(480ヶ月−免除期間24ヶ月×2分の1)÷480ヶ月=月額約6万4600円(約1650円減額)
 

【4分の3免除期間が2年間の場合】

・6万6250円×(480ヶ月−免除期間24ヶ月×8分の3)÷480ヶ月=月額約6万5000円(約1250円減額)
 

【半額免除期間が2年間の場合】

・6万6250円×(480ヶ月−免除期間24ヶ月×4分の1)÷480ヶ月=月額約6万5500円(約750円減額)
 

【4分の1免除期間が2年間の場合】

・6万6250円×(480ヶ月−免除期間24ヶ月×8分の1)÷480ヶ月=月額約6万5900円(約350円減額)
 

まとめ

免除制度を利用して基礎年金の保険料の免除を受けた場合、老齢基礎年金が一定程度減額されます。
 
免除制度には全額・4分の3・半額・4分の1免除があります。減額は猶予制度を利用して保険料を追納しなかった場合が最も大きく、2023年度の老齢給付額ベースでは、2年間猶予をうけると月額約3250円の減額となります。
 
保険料を追納した場合、65歳から老齢基礎年金を受給した場合、およそ77歳で納めた保険料よりも多くの給付金を受け取ることができます。
 
免除制度を利用している場合、10年以内であれば追納が可能であるので、追納して給付額を回復させることを検討してみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表