子どもを大学に入れるとなると、場合によっては千万円単位の資金が必要です。しっかり貯めたつもりの貯金が、教育資金により40代後半〜50代の時点で底をつき、老後資金の算段に頭を悩ませるケースも珍しくないでしょう。   本記事では、子どもが手を離れた世代の方がほとんど貯金のない状態から、老後の生活費を貯める方法を5つ取り上げて紹介します。老後に向けた資金づくりの悩み解消に、ぜひお役立てください。

必要な老後資金の試算と生活費の見直しから始めてみる

「老後資金の蓄えは2000万円必要」といわれることもありますが、実際にいくら必要となるかは家庭ごとの生活水準によっても異なります。まずは、現在の生活費や家族構成、将来もらえる退職金や年金の見込み額などを考慮して、家庭の実情に即した老後の生活費を試算することから始めましょう。
 
老後を迎えるまでにいくら貯める必要があるか分かったら、現在の生活費のムダを省いて貯蓄に回せる金額を増やせないかを検討するのがおすすめです。
 
効率よくムダを省くには、固定費の見直しをするとよいでしょう。インターネットや携帯電話の通信プラン、生命保険の保障の内容やバランスなどは、優先して見直したいポイントです。
 

資産運用で資金を増やす

貯蓄にあてる金額を資産運用に回して、増やしながら貯めるのもひとつの方法です。NISAやiDeCoなど非課税の少額長期投資制度は、リスクを分散しつつ効率よく運用するのに向いています。
 
預貯金と比べると元本割れのリスクはありますが、その分多くの収益も見込めるのが投資のメリットです。例えば、毎月5万円をNISAで積み立てて利回り3%で運用した場合の運用益を、金融庁の「資産運用シミュレーション」で試算すると、50歳から始めた場合、65歳までの15年間で約234万9000円(元金900万円)となります。
 
投資というと大きな金額が必要なイメージがありますが、iDeCoは5000円、つみたてNISAは100円などの少額から積み立てられる商品もあるため、貯金がほとんどない状態からでもスタート可能です。また、つみたてNISAは2024年より新制度がスタートします。
 

定年後再雇用や再就職でできるだけ長く働く

定年後もできるだけ長く働くと、年金だけでは不足する老後の生活費を給与収入で補てんできます。2021年4月に高年齢者雇用安定法が改正されたことにより、継続雇用など定年後に働き続ける道も選びやすくなりました。
 
そのため、例えば試算した生活費をまかなうのに年金だけでは毎月5万円不足する場合でも、60代のうちなら夫婦で働いて毎月5万円以上を稼ぐのはそれほど難しくないでしょう。定年後長く働くほど、貯金を切り崩さなくてよい期間が長くなり、老後の生活費に余裕を持てるようになります。
 

65歳前にリタイアするなら国民年金の任意加入や付加保険料の納付を検討する

65歳前にリタイアした場合は、国民年金の任意加入で基礎年金額を増やす余地がないか確認しましょう。
 
国民年金の任意加入とは、国民年金の資格期間が満期に満たない場合などに、60〜65歳未満までの間、国民年金に任意で加入して保険料を納めることで年金額を増やせる制度です。任意加入ができるのは、次のすべてに当てはまる場合です。


・日本国内に住所がある60〜65歳未満の人
・老齢基礎年金を繰上げ受給していない人
・20〜60歳未満までの保険料納付月数が480月未満の人
・厚生年金保険、共済組合などに加入していない人

また、任意加入期間に付加保険料(月額400円)を上乗せして納付すると、基礎年金受給額が「200円×納付月数」分増やせます。付加保険は2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金額が受給できます。
 

持ち家がある場合はリースバックやリバースモーゲージも選択肢になる

自宅が持ち家の場合は、リースバックやリバースモーゲージの制度を利用して資金を借りる選択肢もあります。
 
リースバックとは、自宅を不動産会社などに売却して代金を受け取り、賃貸契約(定期借家契約)を結んで売却した自宅に住み続ける仕組みです。自宅に住み続けながら資金を得られるうえに、自宅の維持管理の負担がなくなるメリットがあります。
 
一方で、売却価格が市場価格より安くなりやすい、家賃の負担が発生する、定期借家契約が終了すれば住み続けられなくなる可能性があるといったデメリットに注意が必要です。
 
リバースモーゲージは、自宅を担保として生活資金を借り入れ、死亡後に自宅を売却するなどの方法で借入金を返済する高齢者向けの融資制度です。自宅に住み続けながら資金を得られ、存命中は利息のみの返済など負担を抑えられるメリットがあります。
 
ただし、担保物件の価値が下落したときの見直しにより融資限度額が下げられるリスクがあることや、金利の変動によって返済負担が増えるリスクもあるため、利用する際には慎重に検討しましょう。
 

老後の生活費は計画的に貯めよう

貯金がない状態から老後の生活費を短期間で貯めるには、家庭ごとの生活水準に応じた具体的な老後生活費の見積もりと、見積額を元に計画的に資金を貯めることが重要です。
 
単に預金をするだけでなく投資で○円増やすことを目指す、老後○歳までは働くなど具体的に計画を立て、ひとつずつ実行に移しましょう。また、必要に応じて、リースバックやリバースモーゲージなどの制度の利用も選択肢に入れておくとよいでしょう。
 

出典

iDeCo 公式サイト iDeCoってなに? iDeCo(イデコ)の特徴?
金融庁 新しいNISA
金融庁 資産運用シミュレーション
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正〜70歳までの就業機会確保〜
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 付加保険料の納付
国土交通省 住宅のリースバックに関するガイドブック
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー