配偶者が年金の繰下げ受給の待機期間中に亡くなると、妻は年金を受けとらないままになってしまうことになります。そういった場合、未支給状態となっている年金を請求できないのでしょうか。   本記事では、繰下げ期間中に夫が亡くなった場合の年金の取り扱いについて考えていきます。

請求されない年金は 「未支給年金」 として請求できる

年金は原則として65歳から受けとれるものです。しかし、中には繰下げ受給を選択し、65歳時点ではまだ年金を受けとらない方もいます。あるいは単純に、年金の請求手続きをしないまま65歳を過ぎた方もいるでしょう。
 
そのような理由から支給されなかった年金は 「未支給年金」 と呼ばれ、遺族が本人に代わって請求できます。具体的には65歳以降、亡くなった月までの分の年金を、未支給年金として遺族が受けとることができます。ここでいう 「遺族」 とは、配偶者(妻)など、一定範囲の親族のうち1番、優先順位が高い方です。該当者を優先順位に応じて記載していくと、次のようになります。

(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
(2)その他3親等内の親族

例えば、65歳から月あたり8万円の年金を受けとれるはずの夫が年金を受けとらず、68歳で亡くなったとしましょう。遺族たる妻は3年分の年金、288万円を受けとれることになります。
 

未支給年金を受けとる場合の注意点

未支給年金として、遺族が亡くなった方の年金を受けとる場合、本人が繰下げ受給の意図を持っていたとしても、遺族に支給される年金は65歳からの支給額をもとに計算されます。
 
本人が亡くなっていない場合であれば繰下げ受給によって、月当たり0.7%の増額がされた年金が、本人に支給されます。先の事例でいえば、3年繰り下げているので、10万160円の年金を受けとれます。
 
しかし、遺族が未支給年金として受けとる場合は本来、亡くなった方自身が65歳から受けとるはずだった、繰下げ前の、月あたり8万円の年金が支給されことになります。
 
年金には5年という時効が定められています。65歳から5年を過ぎた分は、未支給年金として受けとることができません。亡くなった方が年金を受けとっていないままだった場合は、早急に手続きをする必要があります。
 
なお、未支給年金は受けとった方の一時所得に該当します。未支給年金を含め、一時所得の金額の合計額が50万円を超えている場合は、確定申告が必要になります。
 
確定申告が必要か否か、そして、手続きの詳細などについては、自身の居住地を管轄する税務署へ相談をしてください。
 

未支給年金を請求するための手続き

未支給年金は、所定の手続きをしなければ受けとることができません。具体的には、受給権者死亡届 (報告書) や、未支給年金・未支払給付金請求書 (複写帳票) を記載し、所定の添付書類とともに、年金事務所、または年金相談センターへ提出します。手続きをとらないままでは未支給年金は支給されません。
 
手続きの詳細については、年金事務所などへ相談してください。
 

まとめ

亡くなった夫が年金を請求していなかった、または繰下げ受給の待機期間中であるなど、年金を受けとらずに亡くなった場合、配偶者 (妻) など一定範囲の遺族が年金を 「未支給年金」 として本人に代わりに受けとることができます。ただし、それには所定の手続きが必要になります。
 
また、繰下げ待機中の未支給年金を受けとる場合は、増額の効果が適用されないことのほか、5年以内に請求しなければならないという時効の問題もあります。
 
もし、亡くなった夫が65歳以降も年金を請求していなかった場合、年金事務所や最寄りの年金相談センターに、未支給年金として受けとることができないか、確認をしてみてください。未支給年金の額や手続きの詳細について知ることができるはずです。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:柘植輝
行政書士