「老後の備えとして取りあえずまとまった貯金をしたけれど、それだけで本当に大丈夫なのか不安……」と感じる人は多いでしょう。退職金が望めない場合はなおさらです。   そこで本記事では、統計などのデータをもとに、老後の平均的な収支や理想のゆとりある生活費の金額などを紹介するとともに、いくらあれば老後生活費をまかなえるのかを考えます。ぜひ参考にして、老後の備えを改めて見直してみましょう。

平均的な老後生活費の収支は赤字!?

総務省「2022年 家計調査報告 家計収支編」によると、2人以上の世帯で65歳以上の無職世帯の家計は、可処分所得の1ヶ月平均が21万6253円なのに対して、消費支出(生活費)は平均23万8919円で、2万2666円の赤字収支です。年代別の収支(図表1)を見ても、どの年齢層でも消費支出が可処分所得を上回っています。
 
【図表1】

年齢 65〜69歳 70〜74歳 75歳以上
可処分所得 23万7121円 22万4737円 20万5544円
消費支出 28万10円 24万9589円 22万810円
収支 △4万2889円 △2万4852円 △1万5266円

総務省「2022年 家計調査報告 家計収支編」より筆者作成
 
また、日本年金機構が公表している、令和5年度の夫婦2人分の標準的な年金額は月22万4482円です。消費支出の平均額約24万円を支出するには、標準的な夫婦の年金額だけでは足りません。

 

老後30年の生活費をまかなうには年金以外にいくら必要?

「2022年 家計調査報告 家計収支編」の数字を参考に、65歳から30年間の生活費をまかなうには、年金以外にいくら必要になるかを考えてみましょう。
 
2人以上の世帯で65歳以上無職世帯の生活費における赤字平均額は、1ヶ月あたり2万2666円です。30年間分の赤字を貯蓄で補てんするには、トータルで約816万円必要となります。赤字が平均の範囲で収まるとすると、貯金2000万円・退職金なしの条件でも老後の生活費を捻出できる計算です。

 

生活にゆとりを持ちたいなら2000万円の貯蓄では不足する可能性も

老後には趣味や旅行を楽しむなど、働いていたときにはできなかったゆとりのある生活をしたい、と望む人も多いでしょう。公益財団法人生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」」では、夫婦2人のゆとりある老後生活費は37万9000円という結果が出ています。
 
仮に、標準的な年金額22万4482円を受給する夫婦がゆとりある老後生活費を毎月支出しようとすると、年金以外に毎月約15万5000円が不足する計算です。30年間トータルでは約5580万円が必要となり、貯金2000万円だけではまかなえません。
 
足りない分を少しでも理想のゆとりある老後生活費に近づけるためには、定年後も働いて収入を得る、貯蓄を運用して増やす、年金の繰下げ受給を選択して受給額を増やすなどの対策が必要です。

 

退職金があってもゆとりある老後生活のハードルは高め

貯金が2000万円ある人が退職金をもらえれば、ゆとりある老後生活費をまかなえるかというと、それも簡単なことではありません。
 
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によると、定年で退職した人の平均退職金額は、大学・大学院卒者でも1983万円にとどまっています。また、大学・大学院卒で勤続年数35年以上の人の平均退職金額も2173万円であり、貯金2000万円と合わせても5000万円に届きません。
 
退職金のある会社に勤めていたとしても、ゆとりある老後生活を送るためには、何らかの対策を講じて、老後資金を増やす必要のある場合が多いでしょう。

 

どんな生活を送りたいかを想像して必要な老後資金を用意しよう

統計のデータだけを見れば、貯金が2000万円あれば、退職金がなくても年金収入だけで老後の生活を回していける可能性はあります。しかし、生活レベルを上げてゆとりのある生活を送りたいと考えるなら、貯金2000万円のみでは不安があると言わざるを得ません。
 
退職金がない場合や金額が期待できない場合は、リタイアを遅らせて収入を得る、貯蓄を運用するなどの方法で、生活資金を底上げする方策を検討する必要があるでしょう。

 

出典

総務省 家計調査(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度生活保障に関する調査
厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー