年金だけで暮らせそうにない人にとって、老後資金を貯めておくことは必須な対策といえるでしょう。   ただし、預貯金が十分貯められなかったために、働くことが難しいほどの高齢になってから、資金が底をついてしまうケースも見受けられます。   それ以降は生活保護を頼りたくても、年金受給者は対象外ではないかと不安に感じる場合もあるでしょう。そこで本記事では、1200万円の老後資金が80歳以降に尽きる人を想定し、生活保護に関して受給の可否などを解説します。

年金と生活保護は同時に受給が可能

そもそも年金と生活保護は役割が異なる別の制度です。よって、条件を満たしている場合は両方を同時に受け取れます。年金の役割は、高齢になった人の収入ダウンを補てんすることで、老後の暮らしを安定させるための制度です。
 
一方、生活保護は文字通り生活に困窮している人を守るための制度です。健康かつ文化的な最低限度の暮らしを保障し、自立を促していくという役割があります。
 
詳しくは後述しますが、生活保護を受給する条件は年金ほどシンプルではありません。また、支給される金額はあくまでも生活費の不足分だけです。厚生労働大臣は、居住地の等級や年齢ごとに最低限度の生活費を定めています。
 
そこから収入を引いた残りを受け取れる仕組みです。例えば、年金しか収入がなく、その受給額が5万円で最低限度の生活費が12万円なら、差額の7万円が支給されます。
 

生活保護の対象者になる条件

生活保護を受給する条件は以下の4点に分けられます。
 

・働く能力がない

労働が不可能なことや、労働の報酬だけで生活できないことは主要な条件です。80歳以降でも健康なら、シルバー人材センターなどを利用して、仕事を見つけるように勧められる可能性があります。
 

・資産を保有していない

預貯金などの資産を保有していないことも条件となっています。貯めていた1200万円が尽きても、最低限度の生活に不要な土地や自動車などが残っていると対象外になる場合があります。
 

・他の支援制度を利用している

年金をはじめとして、使える支援制度をすべて利用していることも条件の1つです。それでも最低限度の生活費を確保できない場合に限り、生活保護の対象と判断されます。
 

・扶養義務者が存在しない

必須の条件ではありませんが、扶養義務者がいないことも考慮されます。民法で定めている扶養義務者とは3親等以内の親族です。扶養義務者がいて、援助を頼める状態や間柄なら、そちらが生活保護より優先されます。
 

生活保護のリスクも踏まえて判断

前述のように、生活保護を受給するには複数の条件をクリアしなければなりません。あらゆるものを活用しても、最低限度の生活を維持できないことが前提になっています。
 
暮らしのセーフティネットという位置づけであり、豊かな老後を送るための制度ではない点に注意が必要です。経済的に余裕を持てるわけではなく、自分の理想とは大きく異なるライフスタイルになる可能性もあります。
 
慣れ親しんだ家を売却したり、定期的な調査に対応したりするなど、不自由さを感じるような制約が多いです。
 
このようなリスクがあるため、預貯金と年金だけでは暮らせない見通しなら、投資やダブルワークで老後資金をさらに増やすなど、別の手段によるカバーも検討したほうが良いでしょう。
 

制度を正しく理解して最適な生活設計を!

年金をもらっていても生活保護の受給は可能です。老後資金を使い果たした人が申請するケースも珍しくありません。ただし、働く能力や資産などに関する条件を満たす必要があります。
 
また、制度の利用によって生じるリスクについても把握が不可欠です。正しい知識を身につけたうえで、最適と思える老後の生活設計を進めていきましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー