残業代を支払いたくないためか、「残業する場合は家に持ち帰ってするように」指示される、いわゆる「持ち帰り残業」が問題となっています。本来であれば残業をすると残業代が支払われますが、持ち帰り残業は自主的な残業のように思えるので残業代が支払われるのは難しそうです。   そこで本記事では、残業を休日に家でする場合に残業代が支払われるのかについて解説していきます。

どのような場合に残業代が支払われるのか?

原則として所定労働時間を超えると残業代が支払われます。所定労働時間とは、就業規則で定められている労働時間です。9時から17時までが1日の労働時間で休憩時間が1時間の場合は、所定労働時間は7時間になります。この時間を超えて労働をすると残業代が支払われる仕組みです。
 
また、所定労働時間とは別に法定労働時間も重要です。法定労働時間は1日8時間、週48時間と定められています。この時間を超えた場合は割増の賃金が支払われることになっています。
 
例えば、所定労働時間が7時間の場合に2時間残業すると、法定労働時間内の1時間は通常の残業代となりますが、法定労働時間を超えた1時間に関しては25%以上割増した賃金が発生します。
 

持ち帰り残業でも残業代は支払われる?

残業代が支払われるためには、残業した時間が労働時間として認められる必要があります。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれていて、使用者の指示によって労働者が業務をする時間です。このときの「指示」は、明示だけでなく黙示の指示も含まれます。
 
例えば、仕事量が膨大なために所定労働時間を超えることが明らかな場合は、直接に「残業しろ」との指示はなかったとしても、黙示の指示があったとみなされることが多いです。
 
持ち帰り残業についても、「残業するなら休日に家でやれ」といった明示の指示があれば労働時間として認められるでしょう。
 
また、仕事量が多く期間が定められており、会社での残業が禁止されているような場合は、持ち帰り残業をせざるをえない状況なので黙示の指示があったとみなされる可能性が高いです。この場合も労働時間として認められれば、残業代が支払われます。
 

残業代の割増率に注意

休日に持ち帰り残業をして、残業と認められれば残業代が支払われますが、その際の割増率については注意が必要です。
 
休日には「所定休日」と「法定休日」があります。所定休日は法定労働時間を超えた場合の割増率と同様になるので25%の割増率です。これに対して法定休日の場合は休日手当と同様に35%の割増率になります。
 
法定休日は1週間に1回、4週間に4回以上与えなくてはならないもので、労働を免除される休日です。法定休日とは別に「1週間に40時間」と定められている法定労働時間を満たすために労働時間を短くするための休日が所定休日となります。持ち帰り残業をする場合も、所定休日か法定休日かで割増率に差が出ることを覚えておきましょう。
 

働いた分はしっかりと残業代を請求しよう

持ち帰り残業をした場合も残業代を請求できる可能性があります。「残業するなら休日に家でやれ」といった指示がある場合は残業代が支払われる可能性は高いでしょう。
 
また、残業代の割増率が35%となることもあるので、就業規則などで法定休日がいつなのかを確認することをおすすめします。休日は労働者に認められている労働と切り離されたものです。そのため、貴重な時間を使用者の指示によって労働に充てた場合は労働時間とみなされます。働いた分はしっかりと残業代を請求しましょう。
 

出典

厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省東京労働局 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編
厚生労働省山梨労働局 休日?・・・法定休日?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー