毎年、年末近くになってくると、「ふるさと納税をどの自治体に寄附するのか」「控除上限額があといくらぐらい残っているのか」などのことが気になる方も多いと思います。   令和5年8月9日現在で、国税庁長官が指定した、ふるさと納税を取り扱う特定事業者は19社ありますが、その顧客獲得のための競争は激化し、それぞれが魅力あるインターネットサイトなどを設けています。また、多くの事業者のサイト内には納税控除上限額のシミュレーションが設けられていますが、そのほとんどが会社員や公務員など給与所得者を想定した作りとなっています。   この記事では、自営業者や年金受給者がふるさと納税を利用する際の上限額の目安や注意点などについて確認してみたいと思います。

ふるさと納税の納税控除上限額

ふるさと納税とは、納税者が自治体を指定して寄附することで、所得税の還付や住民税の控除を受けることができ、さらに、寄附先の自治体からお礼として特産品などの返礼品がもらえる制度です。その際に自己負担額2000円を除いた全額が控除されるための上限額は、納税者の収入や家族構成などによって異なることになります。
 
上限額を超える寄附をした場合には、超過額については、その全額を控除することができず、自己負担額が増加することになります。そして、ふるさと納税は寄附金として扱われ、所得税には「寄附金控除」が、住民税には「寄附金税額控除」が適用されます。
 
【図表1】


総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ 税金の控除について」より
 

自営業者の方のふるさと納税控除上限額

自営業者(個人事業者)の控除額は、その年の1月1日から12月31日までの事業所得等の所得金額を基に計算されます。そのため、その年ごとに売り上げの変動が激しい業種、業態などの場合には、現在進行中の年における売上等を予測する必要があり、前年の金額が参考とならないケースもあるため注意が必要です。
 
その上で、自営業者の納税控除上限額の目安(概算)は、所得が前年度と同等と仮定した場合、前年の「住民税決定通知書」(前年分について、毎年5月〜6月ぐらいに、住んでいる自治体から送付される)に記載されている「住民税所得割額」の2割程度になります。
 
もう少し正確に算定する場合には、図表2の速算表に当てはめて算出することもできます。
 
【図表2】


 
なお、個人事業者の場合には、給与所得者に適用される「給与所得控除」の制度がないため、一般的には給与所得者よりも納税控除上限額が高くなり、より多くの金額をふるさと納税で寄附することができます。
 

年金受給者の方のふるさと納税控除上限額

年金受給者が受け取る老齢給付などの公的年金は、雑所得に分類され、所得税や住民税が計算されます。ふるさと納税による控除は、納税している税額以上には適用できないため、仮に所得税が課税されない目安となる総収入108万円以下(65歳未満)、158万円以下(65歳以上)の場合には、寄附金控除を受けることができません。
 
【図表3:年金受給者の納税控除上限額(目安)】
 


 
※65歳以上の方で、公的年金以外の収入がないと想定した場合の目安の額です。
※配偶者が70歳以上または扶養親族が70歳以上の場合には、配偶者控除や扶養控除が増額されます。
 
なお、年金収入が400万円以下(それ以外の所得なし)で、寄附先自治体が5か所以内の場合、「ワンストップ特例制度」を利用することもできます。
 

まとめ

ふるさと納税は、節税の一環として紹介されることがありますが、寄附金として支払った金額のうち2000円を除いた金額が所得税や住民税から控除される制度です。
 
つまり、所得税や住民税について、本来負担する税金を別途「一部前払い」しているようなものです。その上で、自己負担2000円で返礼品がもらえることがメリットとなります。
 
自営業者の方でも、ふるさと納税の納税控除上限額は思ったより大きな金額となるケースがあります。ある程度資金的な余裕がある場合には、ぜひふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか?
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー