老後の生活費を考える際は、生活地域やライフスタイルに合わせることが必要です。   たとえば厚生労働省が公表した「令和4年簡易生命表の概要」によると、令和4年時点の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっています。ざっくりと男性や女性にかかわらず、80歳もしくは85歳まで生きると考えた場合は、定年後15〜20年ほどを年金や貯蓄で生活する計算です。   総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の平均的な消費支出と非消費支出の合計は月間27万円ほどなのに対し、収入は25万円ほどと2万円の赤字になっています。   また65歳以上の単身世帯では月間15万5000円ほどの支出に対して、収入は13万5000円ほどと2万円の赤字です。なお、同資料は持ち家を想定したものであり、賃貸や住宅ローンが残っている場合はさらに支出額が増加します。

老後に必要な生活費を年金で賄うために必要な年収

前記の結果から、月々の生活費を年金で賄うためには単身世帯で15〜20万円ほど、2人世帯で25〜30万円ほど必要です。これを国民年金および厚生年金で賄うために必要な年収は次のようになります。
 
なお、国民年金は満額もらえるものとし、金額は2023年度の年79万5000円で計算、厚生年金は40年間(480ヶ月)加入したとし「平均年収÷12✕0.005481✕加入月数」で計算します。
 
単身世帯で月20万円(年間240万円)の年金を受け取るためには厚生年金で160万円ほど賄う必要があるため、年収は732万円ほど必要です。平均年収460万円ほどとされる日本においては、なかなか高いハードルといってよいでしょう。ちなみに夫婦2人世帯であれば年収369万円ほどで月20万円の年金が受け取れるため、一気に現実的になります。
 

繰下げ受給や就業延長も検討する

2023年現在の年金支給開始年齢は65歳です。ここまでの試算はすべて65歳で受給開始した場合のものですが、開始年齢を遅らせる「繰下げ受給」を選択することで、受け取れる金額を増やすこともできます。1年遅らせるごとに8.4%ずつ増額され、最大となる10年(75歳)遅らせれば84%の増額が可能です。
 
いまや65歳でも働く人は多く、70歳を超えて元気に働いている人も少なくありません。もしも65歳になっても働ける状態であれば、可能な限り受給開始を遅らせるのも選択肢の1つでしょう。
 
特に厚生年金は70歳まで加入でき、年金受給額を増加させられます。65歳から年金を受給していても厚生年金を払い続ける限り、最長70歳までは年金を増加できるのが特徴です。
 

年金以外の選択肢を含めて老後資金を準備しよう

老後の生活費をすべて年金だけで賄うためには、単身世帯で700万円以上の年収が必要です。日本の平均年収が460万円ほどとされる中では、少々ハードルが高いといってよいでしょう。老後に働かずに余裕のある生活をしたいのであれば、年金以外の選択肢も検討することも大切です。NISAやiDeCoなど国が推奨する方法はもちろん、さまざまな方法を検討しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況

日本年金機構 年金の繰下げ受給

国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー