毎年受け取るねんきん定期便に記載された年金額が去年より減っていて、「年金額は増えていくものだと思っていたのに」「このまま減り続けるの?」と不安に思ったことがある人もいるのではないでしょうか。   年金の加入期間が増えればねんきん定期便の年金額は増えるのが原則ですが、さまざまな理由で金額が減る場合もあります。本記事では、ねんきん定期便の年金額が減る理由を4つ紹介するとともに、減少が継続的に起こるのかどうかも解説します。

令和5年9月送付分以降「これまでの加入実績に応じた年金額」の計算方法が変更

ねんきん定期便の年金額が昨年のお知らせよりも減った場合、「これまでの加入実績に応じた年金額」の計算方法が、令和5年9月送付分以降で変更されたことにより影響している可能性があります。
 
ねんきん定期便の「これまでの加入実績に応じた年金額」には、ねんきん定期便が作成された時点の年金加入実績から計算した年金額(年額)が記載されています。令和5年8月送付分までのねんきん定期便では、保険料納付済月数(免除月数を含む)の合計月数の小数第1位を四捨五入して算出した老齢基礎年金の見込額を、小数点以下切り捨てで表示されていました。
 
令和5年9月送付分からは、老齢基礎年金の受給額算出時と同じ端数処理の方法に統一され、保険料納付済月数は四捨五入せず、算出した老齢基礎年金の見込額を小数第1位で四捨五入した金額が記載されています。そのため、令和5年度の「これまでの年金加入期間」が令和4年度と同一の人(国民年金保険料を前納している、年金制度未加入など)は、「これまでの加入実績に応じた年金額」が令和4年度より減っている場合があるのです。
 
これは、計算方法の変更にともない年金額の見た目が一時的に減少しただけで、継続して減り続けるわけではありません。今後、保険料納付済月数が増えれば、原則として年金額も増えていきます。
 

年金給付水準の変化

ねんきん定期便の年金額の計算に用いられる年金給付水準が変化した場合も、年金額が減ることがあります。
 
ねんきん定期便の年金額は、作成年度の年金給付水準をもとに計算されています。年金給付水準は前年の全国消費者物価指数によって変動するものです。年金給付水準が下がると、次のようなケースでは表示される年金額が前年より減ることがあります。

●50歳未満で「これまでの年金加入期間」が前年と同一の人(国民年金保険料の前納、年金制度未加入など)
●50歳以上で前年から国民年金に加入中の人(前年から納付状況に変化がない場合)
●50歳以上で、厚生年金保険に加入中かつ標準報酬月額が前年と同一の人

 

過去の年金記録の訂正

ねんきん定期便に記載された年金記録に漏れや誤りがあることに気づいた場合は、「年金加入記録回答票」や「年金記録訂正請求書」を年金事務所に提出して、調査や訂正を請求できます。請求の結果誤りがあることが分かり、過去の年金の加入記録が正しいものに書き換えられると、それにともなって年金額(見込額)も増減する可能性があります。
 

50歳以上の「老齢年金の種類と見込額(年額)」は年金の加入状況に応じて増減する

50歳以上のねんきん定期便に記載された「老齢年金の種類と見込額(年額)」は、加入中の年金制度に60歳到達の前月まで継続加入することを想定して計算された数字です。そのため、前年のねんきん定期便作成時点から次のような変化があった場合には、「老齢年金の種類と見込額(年額)」が前年と比べて減ることがあります。

●厚生年金保険の標準報酬月額が下がった
●前年あった賞与の支給が今年はなかった
●退職して厚生年金保険の資格がなくなった

 

ねんきん定期便の金額減少は継続的なものではない可能性もある

ねんきん定期便に記載された年金額が減った場合、次のような理由が考えられます。

●計算方法の変更にともなう減少
●年金給付水準の変化にともなう減少
●年金記録の訂正にともなう減少
●年金の加入状況の変化にともなう減少

いずれにしても、年金額の減少は継続的なものではなく、それぞれの原因が起こったときだけの一過性のものである可能性もあるため、継続的に確認しておくとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 「これまでの加入実績に応じた年金額」は、どのように計算されているのですか。(50歳未満)
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)
日本年金機構か ねんきん定期便に表示されている年金額が昨年の見込額より少ないのですが、どうしてですか。
日本年金機構 年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合
厚生労働省 年金記録の訂正請求手続
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー