「夫婦共働きのほうが年金額は増える」と知っていても、実際にどのくらい違いが生まれるのかはピンとこないものです。社会保険料を負担してでも2人で厚生年金に加入するのがよいのかどうか、迷っている夫婦もいるでしょう。   そこで本記事では、年金受給額の統計データやシミュレーションの結果をもとに、夫婦の働き方別の年金額を比較します。自身の家庭と置き換えて、働き方による年金額違いをイメージしてみましょう。

老齢厚生年金と老齢基礎年金の平均受給額

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の男女の老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)の平均月額は、男性:約16万9000円、女性:約10万9000円です。現役時代に夫婦共働きで双方が平均的な年金額を受給する場合、夫婦の年金額は約27万8000円と計算できます。
 
一方、老齢基礎年金の平均月額は約5万1000円です。夫が老齢厚生年金、妻が老齢基礎年金をそれぞれ平均的な金額受給する場合、夫婦の年金額は約22万円です。
 
両者を比べると、共働き夫婦と妻が扶養内に抑えていた夫婦では、年金の月額に約5万8000円、年間約69万6000円もの違いが生じることが分かります。
 

扶養内に抑えていた夫婦と共働き夫婦の年金額シミュレーション

年収などの条件を想定して、夫婦の年金額がどう違うのかをシミュレーションしてみましょう。ここでは、以下の3つのパターンで夫婦の年金額を比較します。

●収入を扶養内に抑えていた夫婦
●一部共働き期間がある夫婦
●共働き夫婦

 
※年金額は全て、厚生労働省「公的年金シミュレーター」による試算です。実際の年金額とは異なる可能性があります。

 

収入を扶養内に抑えていた夫婦の年金額

結婚期間中、妻が終始配偶者の扶養に入っていた場合についてシミュレーションしましょう。ここでは、次の2つのケースについて試算します。

●妻に厚生年金加入期間がない
●妻に独身時代の厚生年金加入期間がある

■妻に厚生年金加入期間がない場合

《条件》

●夫が会社員(生涯の平均年収:500万円・20〜60歳まで勤務)
●妻には厚生年金加入期間が全くない

このケースでは、夫の年金額は年額約187万円(月額15万5833円)、妻の年金額は年額約80万円(月額6万6666円)となります。夫婦の年金額は年額約267万円(月額22万2500円)となる計算です。
 
■妻に独身時代の厚生年金加入期間がある

《条件》

●夫:会社員(平均年収:500万円・20〜60歳まで勤務)
●妻には独身時代の厚生年金加入期間がある(平均年収:300万円・5年勤務)

このケースでは、夫の年金額は年額約187万円(月額15万5833円)、妻の年金額は年額約87万円(月額7万2500円)です。夫婦の年金額は年額約274万円(月額22万8333円)となり、妻に厚生年金加入期間がないケースと比べて、年間約7万円多くなります。
 
また、これらの数字は妻が夫を扶養に入れて働く場合も変わりません。
 

一部共働き期間がある夫婦の年金額

結婚期間中に、一部共働き期間がある場合はどうでしょうか。妻が独身時代から出産までの10年間勤務していた場合についてシミュレーションしてみます。

《条件》

●夫:会社員(平均年収:500万円・20〜60歳まで勤務)
●妻には独身時代〜出産まで厚生年金加入期間がある(平均年収:300万円・10年勤務)

このケースでは、夫の年金額は年額約187万円(月額15万5833円)、妻の年金額は年額約95万円(月額7万9166円)です。夫婦の年金額は年額約282万円(月額23万5000円)となります。終始扶養内のケースと比べて年間約15万円、妻が独身時代の5年間厚生年金に加入していたケースと比べて年間約8万円多い計算です。
 

共働き夫婦の年金額

結婚期間中に終始共働きだった夫婦の年金額を試算してみましょう。

《条件》

●夫:会社員(平均年収:500万円・20〜60歳まで勤務)
●妻:会社員(平均年収:300万円・20〜60歳まで勤務)

このケースでは、夫の年金額は年額約187万円(月額15万5833円)、妻の年金額は年額約146万円(月額12万1666円)です。夫婦の年金額は年額約333万円(月額27万7500円)となります。妻に厚生年金加入期間がないケースと比べると年間約66万円も多くなる計算です。妻が10年厚生年金に加入していたケースと比べても、年間約51万円の違いがあります。
 

共働き期間の有無による年金額の差は大きい

配偶者の扶養内の期間は、年金保険料の負担がない代わりに年金は基礎年金のみになります。そのため、共働きの夫婦と扶養内に抑えていた夫婦では、年金額に大きな差が生まれるのが一般的です。
 
保険料を抑えて今の家計の負担を減らすほうがよいのか、今保険料を負担して老後の収入を増やすのがよいのかは、家庭ごとの事情により異なるでしょう。シミュレーションの数字も参考にしながら、夫婦で働き方について話し合ってみましょう。
 

出典

厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 公的年金シミュレーター
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー