日本には、経済的に困窮している人を救済するための生活保護制度があります。資産や能力を活用しても最低限度の生活を送ることができないとき、一定の要件を満たすことで利用できる制度です。   この制度があることによって、ケガや病気などによって働けない人の生活も保障されます。   実は、日本の生活保護に当たる公的扶助制度は、諸外国にも存在しています。主要各国の生活保護と比較して、日本の審査基準は厳しいのでしょうか。   本記事では、日本の生活保護の審査基準と、各国の公的扶助における審査基準を比較して見ていきましょう。

日本における生活保護の審査基準とは?

生活保護は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を送れるようにするための制度です。
 
必要に応じて保護費を支給することで、生活困窮者を保護して、経済的な自立を促すことを目的としています。
 
受給の対象となるのは、あらゆる資産や能力を活用しても、収入が最低生活費に満たない世帯です。
 
最低生活費とは、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要とされる費用のことで、厚生労働省が定めた計算方法で算出されます。
 
住んでいる地域の級地区分や年齢・世帯人数から算出するため、事前に級地区分を調べておくとよいでしょう。
 
保護費として支給されるのは、最低生活費から収入を引いた分の差額です。
 
ただし、売却して生活費に充てられる不動産を所有している場合や、親族などから援助を受けられる場合などは、生活保護の対象にならない可能性があります。
 

諸外国の公的扶助の審査基準はどうなっているのか?

欧米諸国の公的扶助制度では、どのような審査基準が設けられているのでしょうか。
 
今回は、ドイツ・韓国・アメリカ・スウェーデン・イギリス・フランスにおける公的扶助のなかから、代表的な制度をいくつか例に挙げてご紹介します。
 
表1
 

制度の名称 支給対象者 所得要件 資産の保有限度
ドイツ 生計扶助 就労能力のない者 基準需要適用額を基準とし、これに住居費の実費などの加算を加えた額が上限となる 預貯金1600ユーロ
(約21万円)までは資産としてみなされない
また、適切な住居や家具などは資産としてみなされない
韓国 生計給付 自らの収入および資産では生計を維持できない者 所得認定額が基準中位所得の30%以下であること
※基準中位所得:全国民を100人と仮定し、収入の多い順に並べて50番目の人の所得
資産は所得換算額として考慮される
アメリカ 補足的保障所得
(SSI)
貧困の高齢者(65歳以上)、視覚障がい者(児)およびそのほかの障がい者(児) 収入が給付基準額を下回っていること 単身は2000ドル(約20万円)、夫婦は3000ドル(約30万円)未満の資産
スウェーデン 社会扶助 自らの収入および資産では生計を維持できない者 世帯収入額が全国標準額またはコミューン(市)が定めた基準額を下回っていること 預貯金については、原則として保有が認められていない
イギリス ユニバーサル・クレジット
(UC)
稼働能力を有する18歳以上年金 受給開始年齢未満の者 世帯収入が給付基準額(基礎額と付加額の合計額)を下回っていること 貯蓄などの資産額が1万6000ポンド (約232万円)以下であること
フランス 積極的連帯所得 (RSA) 25歳以上の者 世帯収入が世帯保障所得を下回っていること なし

 
※データは2018年度のもの
※厚生労働省「諸外国における公的扶助制度の概要」(1)(2)を基に筆者作成
 

日本の生活保護の審査基準は特別厳しくはない

フランスの積極的連帯所得(RSA)のように、資産の保有限度が定められていないような、審査基準が比較的ゆるやかな制度もあります。また国によっては、支給対象者の年齢制限を設けているところもありますが、日本の生活保護には年齢制限がありません。
 
これらのことから、日本の生活保護の審査基準が、諸外国の公的扶助制度の審査基準と比較して、特別厳しいとはいえないでしょう。
 
生活保護の受給を希望される場合は、どのようなことが審査基準に当たるのかについて、よく調べておくことをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度

厚生労働省 諸外国における公的扶助制度の概要(1)

厚生労働省 諸外国における公的扶助制度の概要(2)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー