年金の繰下げ受給は、受け取りを遅くするだけで年金額を増やすことができる制度です。しかし、年金を受け取る前に亡くなってしまうと、本人は年金を受け取れなくなるリスクがあります。   このような場合に受け取るはずだった年金はなくなってしまうのでしょうか? もし受け取れるなら、いくら受け取れるのか。また、遺された家族がいくら遺族年金をもらえるのかも気になるところです。   そこで本記事では、月20万円の年金を繰下げている途中で夫が亡くなった場合の年金はどのようになるのかについて解説していきます。この場合の遺族年金の年金額についても紹介するので参考にしてください。

年金を繰下げている途中で亡くなった場合

年金の繰下げ受給は、原則65歳から受け取れる年金を66歳以降に遅く受け取ることで年金額を増やすことができる制度です。増額した年金額は一生涯受け取れるので、老後の収入増にもつながります。
 
しかし、繰下げている途中で年金受給権者(年金を受け取るはずの人)が亡くなった場合は、当然本人は年金を受け取ることができません。その代わりに遺族が未支給年金として年金受給権者が受給できます。
 

年金の繰下げ中の増額分は受け取れない

例えば、年金額が月20万円だった場合、繰下げ期間が68歳0ヶ月だったとすると25.2%増額されるので月25万400円の受給が可能です。そのため、繰下げ期間中に夫が亡くなった場合の未支給年金は増額されるはずだった年金を受け取れるように思えます。
 
しかし、繰下げ期間中に亡くなってしまうと、65歳時点の年金額を基準にして受け取るはずだった年金の総額が支給されます。つまり、繰下げ期間中の68歳0ヶ月で亡くなった場合の未支給年金は合計720万円です。
 
また、未支給年金は請求した時点から5年よりも前の年金については受け取ることができません。5年よりも前の年金は時効となってしまうので注意してください。
 

遺族年金はいくら受け取れる?

夫の年金額が月20万円だった場合、妻は遺族年金をいくら受け取れるのでしょうか? ここでは妻を60歳、成人している子がいると仮定して計算します。
 
まず、遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、妻が60歳で子も成人しているため遺族基礎年金の受給権はありません。そのため、遺族厚生年金のみが対象となります。
 
遺族厚生年金の金額は亡くなった人の厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。夫の年金が月20万円で基礎年金を満額(6万6250円)受け取れたとすると遺族厚生年金は13万3750円になります。単純に厚生年金のすべてが報酬比例部分だとすると、遺族厚生年金は月10万312円(小数点以下切り捨て)です。
 
それだけでなく、夫が亡くなった際に18歳未満の子がいない65歳までの妻は中高齢寡婦加算を受け取れます。中高齢寡婦加算の金額は年額で59万6300円です。月に換算すると4万9691円になります。遺族厚生年金の金額と合わせると月に約15万円です。
 
65歳以降は中高齢寡婦加算が受け取れなくなりますが、妻自身の年金を受け取ることができるようになります。
 

手続きは早めに済ませましょう

未支給年金や遺族年金は亡くなった人が受け取るはずだった年金を基準としています。亡くなった本人は受け取れませんが、遺された家族は受給できるので手続きを進めましょう。
 
消滅時効が定められているものもあるので、他の相続手続きと合わせて素早く請求することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー