老後の暮らしにおいて心配なことの1つにお金のことがありますす。老後は現役時代のように働くことはできない可能性が高く、できればなんとか年金だけで暮らしていきたい、と考えている人も多いでしょう。   それでは、仮に住宅ローンを完済していたら、毎月11万円の年金と退職金1600万円の貯金でやっていけるのでしょうか。詳しく解説します。

単身高齢者の平均支出額は約15万円

総務省が2022年に行った家計調査によると、65歳以上の単身無職高齢者における毎月の平均消費支出額は14万3139円、平均非消費支出額は1万2356円です。合計すると、毎月における支出額の平均は15万5495円です。
 
ただし、この調査では住居費が消費支出全体の8.9%になっています。計算すると1万2739円です。住居費が1万2739円なんて少なすぎる、と感じる人も多いでしょう。これは持ち家の人を含んでいるためで、そうすると、老後を賃貸で暮らす人は平均支出額より最低でも2、3万円は多めに考えておいた方がよさそうです。
 

住宅ローン完済、退職金が1600万円あれば年金月11万円でやっていける?

それでは、仮に住宅ローン完済、退職金が1600万円あれば、年金月11万円でもやっていけるのでしょうか。まず、住宅ローンを完済しているということなので、先程の平均支出額から住居費を引きます。その場合、目安となる全体の支出額は14万2756円です。
 
年金が月11万円の場合、3万2756円足りません。年額だと39万3072円の赤字となります。この分を退職金から賄うとすると、約488ヶ月目に貯金が尽きてしまうでしょう。しかし、488ヶ月目ということは40年と8ヶ月目です。仮に65歳から計算すると、105歳と8ヶ月目に貯金が尽きることになります。
 
ただし、これはあくまでも退職金1600万円全てを受け取った場合の計算です。退職金には金額に応じた税金が課税されます。
 

退職金にも所得税や住民税が課税される

老後の暮らしの大きな支えとなる退職金ですが、この退職金にも所得税や住民税が課税されます。退職金にかかる課税額の計算方法は、まず「(退職金の収入金額−退職所得控除額) × 2分の1」で課税退職所得金額を求めましょう。
 
次に、所得税を求める計算式は「課税退職所得金額×所得税率−控除額」です。さらに、復興特別所得税として「基準所得税額(所得税額)×2.1%」がかかります。
 
仮に勤続30年だったとすると、退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数30年−20年)」で1500万円です。つまり、1600万円から1500円を引き、2分の1をかけた額である50万円が課税退職所得金額になります。
 
この場合、所得税率は5%、控除額は0円なので、かかる所得税額は2万5000円です。復興特別所得税額は所得税額の2.1%なので525円になります。合わせると、2万5525円が所得税および復興所得税額です。
 
また、勤続年数が20年以内だった場合には、退職所得控除額を「40万円×勤続年数」の計算式で求めます。仮に勤続年数が20年であれば、退職所得控除額は800万円です。
 
そうすると、先ほどの式と同じく「(退職金の収入金額-退職所得控除額) × 2分の1」で課税退職所得金額は80万円になります。この場合も所得税率は5%、控除額は0円なので、所得税額は4万円です。復興所得税額は840円になります。
 
これらのほか、住んでいる地域の税率にもとづいて住民税が課税されることも覚えておくとよいでしょう。
 

退職金が1600万円あれば平均支出額には足りる可能性が高い

年金が月11万円でローンを完済している場合、単身高齢者の平均支出額よりも3万円程度赤字になります。しかし、退職金1600万円が手取り額で、その全てを老後の生活に充てられるのであれば、貯金を切り崩しながら平均的な暮らしができる可能性が高いです。
 
また、それほど大きい金額ではないものの、退職金にも所得税や住民税が課税されることも覚えておくとよいでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 家計の概要

国税庁 退職金と税

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー