働き方改革によって残業時間の上限見直しなどが行われ、法定時間以上の時間外労働をした際には割増賃金を支払う必要があります。そのため、できるだけ残業しないといった対策をとる企業が増えました。   では、もし残業代を抑えるために従業員に残業時間のごまかしを会社命令で行っていた場合、どのような問題があるのでしょうか。   本記事では、従業員に残業時間の過少申告を命令していた場合、罪に問われるのかについて解説します。

残業時間の過少申告を命令する行為は罪に問われる

結論を先に言えば、従業員に残業代を抑える目的で残業時間の過少申告を命令していた場合、罪に問われます。お願い、と優しい言い方をしていたとしても、従業員からすれば命令(強要)されているも同然です。残業代を抑えられたとしても、罪に問われてしまえば意味がありません。
 
この場合の罪は以下の2つがあります。
 

・労働時間に関する保存義務違反

会社は従業員の労働時間を記録し、5年間保存する義務があります。残業代の過少申告をする方法はさまざまです。例えば、タイムカードを利用していた場合、残業時間を過少申告するために先にタイムカードを打刻してから残業するケースもあるのではないでしょうか。こういったケースでは、タイムカードの改ざんをしたことになります。
 
タイムカード以外の方法で労働時間の記録をしている場合も同様です。労働時間の改ざんは「労働時間に関する保存義務違反」に該当し、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
 

・残業代の不払い

残業時間の過少申告は、実際の残業時間に対して正当な残業代を支払っていないことになります。これは「残業代の不払い」に該当し、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。
 

会社側が勝手に残業時間の改ざんをした場合は刑事罰に問われる場合もある

会社命令で仕方なく残業時間の過少申告をしている従業員も、我慢の限界がくれば会社に未払い分の残業代を求める可能性がないとはいえません。
 
もし従業員が刑事裁判も望めば、前述した2つの罪以外に刑事罰が科される可能性が出てきます。そうなれば、結局未払い分の残業代以上を支払うことになりますし、会社の社会的信用をなくす可能性もあるでしょう。
 

・私文書偽造罪

労働時間の保存や給料に直接かかわるタイムカード(あるいはほかの記録方法)を改ざんしていることから、「私物書偽造罪」に該当します。この場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。
 

・電磁的記録不正作出

会社は労働時間を正確に記録し、保存しなければならない義務があります。会社が勝手にタイムカードを改ざんしている行為は、電磁的記録の不正作出に当たります。そのため、「電磁的記録不正作出」に問われる可能性があるでしょう。この場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
 

残業時間の虚偽申告をするよりも業務の効率化を目指すことが重要

残業代を抑えるためとはいえ、従業員に残業時間の過少申告をさせるのは控えたほうがよいでしょう。そういった行為は罪に問われ、懲役や罰金につながる可能性があります。場合によっては刑事罰に問われる可能性もないとはいえません。
 
残業時間の過少申告を命令するのではなく、業務の効率化をしてできるだけ残業時間を減らせる対策をしましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー