個人番号や基礎年金番号など、個人に割り当てられた番号はいくつもあります。「雇用保険被保険者番号」もその1つです。こうした番号には、個人を特定する重要な役割があります。しかし、さまざまな事情で番号が複数振り出されてしまったらどうなるでしょうか。   本記事では、雇用保険被保険者番号を2つ以上持ってしまった場合について、放っておくと何か不都合があるのか、あるとすれば損害はどのくらいかなどを説明し、番号を統合する手続きについても紹介します。

雇用保険番号は1つだけ

雇用保険被保険者番号は、雇用保険の被保険者になると振り出される11桁の番号です。「9999−999999−9」のように「4桁−6桁−1桁」の数字で構成されています。
 
雇用保険被保険者番号は「1人に1つだけ」です。就職して雇用保険に加入したときに番号が振り出されますが、その番号を継続して使うことになります。原則として、会社を辞めても他の会社に転職しても番号は変わりません。
 

雇用保険番号が2つ以上になる原因

しかしまれに、雇用保険被保険者番号を複数持っている人がいます。その多くは転職回数が多い人のようです。転職しても同じ番号を使うのが原則ですが、雇用保険証の紛失などにより番号が分からなくなると、新規で番号が振り出されることがあります。
 
一般的には、手続きの際にハローワークの窓口で前職の会社名と在籍期間などを告げれば、コンピューターで雇用保険番号を検索してもらえます。そのため、番号が分からなくなるケースは多くありません。
 
ただ「前職を隠して入社した」など何らかの事情があると番号の検索もできず、新規で番号を取るしかなくなります。また、前職の退職から相当な年数がたっている場合は番号が消滅しているため、やはり新しい番号を取得することになります。
 

雇用保険被保険者番号が2つ以上あると損

「雇用保険の番号が2つ以上になっても、特に不都合はないだろう」と思う人もいるかもしれません。確かにそのまま放っておいても、罰則などはありません。しかし雇用保険被保険者番号が2つあるということは、雇用保険制度上では同じ氏名・同じ誕生日の別人が存在することになります。
 
「A社に10年間勤めた後、すぐにB社に転職し、1年経過して退職した」場合で考えてみます。そしてA社での雇用保険被保険者番号と、B社での番号が異なっているとしましょう。
 
この人が、もしB社を自己都合退職した場合、B社の在籍期間は1年であるため、図表1のとおりその失業給付(基本手当)の受給日数は「90日」です。
 
図表1
 
基本手当一般
 
ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
 
しかし、もしA社の在籍期間を通算したら、被保険者期間は「11年」になるため、失業給付が「120日分」受給できます。30日分も失業給付の給付日数が多いのです。さらに、離職理由が自己都合ではなく会社都合だった場合を考えてみましょう。図表2は、会社都合で退職した場合の失業給付の給付日数です。
 
図表2
 
基本手当特定受給資格者
 
ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
 
仮にこの人の年齢が「45歳」とすると、B社のみの場合の失業給付を受給できる日数は「180日」ですが、A社の期間を通算すると「270日」になり、給付日数は90日も増加します。
 

複数ある番号は早めに統合

このように、複数ある雇用保険被保険者番号をそのままにしておくと、給付金の受給上、不利になることがあります。前職で働いた期間も大事な被保険者期間です。2つ以上ある番号は放置せず、番号の統合をしましょう。
 
番号の統合は「雇用保険被保険者番号統一届」という書類を提出することでできます。もし番号が2つ以上あるときは、会社の社会保険担当者に事情を説明し、番号の統合手続きをしてもらいましょう。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数

 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士