住宅購入者の中には退職金で住宅ローンを返済しようと考えている人も多く、住宅ローンを組んだ際に退職金を頼りにしているケースも少なくありません。定年退職時に貯金が1000万円あれば、退職金でローンを返済しても老後生活は問題ないのでしょうか。   本記事では、受給できる年金額なども考慮しながら老後生活について解説するので、気になる人は参考にしてみてください。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給額について

退職金が出るということは会社員として働いていることですから、老齢基礎年金と老齢厚生年金が受給できるでしょう。老齢基礎年金は全期間納付していると満額で毎月6万6250円(令和5年度分)が受給でき、年額では79万5000円です。
老齢厚生年金は受給できる金額が納めた厚生年金保険料で変動しますが、日本年金機構では夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額を月額22万4482円・年額269万3784円(令和5年度分)としています。
具体的な老齢厚生年金受給額についてはきちんと把握して、受給額を考慮しながら生活を送るようにしましょう。
 

1年間にかかる費用を考えてみる

総務省の家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)によると、夫婦ともに65歳以上の無職世帯の消費支出は毎月23万6696円、年間では284万352円となっています。これに非消費支出と呼ばれる税金や社会保険料が毎月3万1812円必要で、合計すると毎月26万8508円・年間322万2096円になります。
実収入は毎月24万6237円・年間295万4844円となっており、毎月2万2270円・年間26万7240円の不足となります。
 

貯蓄が1000万円あれば退職金は住宅ローンに使っても問題ない?

貯蓄が1000万年あれば退職金は住宅ローンに使っても問題ないかですが、着目点としては収入から支出を引いた金額がどのくらいに収まるかです。
日本年金機構が公表している年金額年額269万3784円から前記の年間支出322万2096円を引くと、52万8312円が毎年足りていません。貯蓄が1000万円あるなら52万8312円が毎年足りなくても約19年間は生活できますが、20年目からは貯蓄がなくなります。
一方、総務省の家計調査年報によれば、年間の不足は26万7240円なので38年目から貯蓄がなくなります。
 
退職金を住宅ローン返済に使用する場合は自身の収入と支出のバランスを考慮して、どれくらいの期間なら貯蓄で対応できるか計算することが大切です。また、生活しているとリフォームや病気など突発的にまとまったお金が必要になるケースもあるため、基本的には収入を増やすか支出を減らすかして、収入が支出を上回っている状況を作るようにしましょう。
 

そもそも住宅ローンを退職金で返済するのはリスクもある

そもそも住宅ローンを退職金で返済するのはリスクがあるため、少しでもリスクを抑えたいなら毎月の収入で返済して定年退職前には返済できるプランを立てるのがおすすめです。
例えば、病気やけがなどで仕事を辞めたり転職したりすると想定の退職金よりも少なくなる可能性があり、ほかにも同じ会社で長年勤めていても業績悪化などで退職金額が減らされるケースも十分に考えられます。
 
退職金を使わずに住宅ローン返済を終わらせていれば、退職金はそのまま貯蓄に回して生活資金としての活用も可能です。自身で判断が難しいならファイナンシャルプランナー(FP)や金融機関などの専門家に相談して、ライフプランを考えるようにしましょう。
 

まとめ

貯蓄が1000万円あれば退職金で住宅ローンを返済しても老後生活はある程度問題ないですが、収入と支出のバランス次第では早々に貯蓄がなくなる可能性も挙げられます。他にも突然大きな出費が発生するかもしれないので、できるだけ貯蓄には余裕を持っておくことが大切です。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー