近年の物価上昇で家計の負担は増しています。その中で、救済策として賃金アップを実施する企業も増えてきています。直近の代表的な例では、ユニクロを運営するファーストリテイリングが従業員の給与を数%〜最大40%程度アップ、さらに新卒入社の初任給を30万円に引き上げることを決定し大きな話題を呼びました。   厚生労働省が公表している令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況によると、大学卒の初任給の平均は約21万円です。平均から比べると、初任給30万円がいかに高額で魅力的か分かります。他にも初任給をアップすることで新卒採用の拡大を試みる企業が出てきていますが、この募集要項の月収の表記には、同じ金額に見えても実態は全く異なる「ワナ」が潜んでいる場合もあります。   本記事では、月収の額面表記に隠されたワナを紐解き、入社前に確認すべきポイントについて解説します。

初任給は基本給とその他手当を含んだ金額で表記されている

隠された大きなワナというのは、「初任給」の定義を使った水増し表記です。「初任給」という表記は、基本給以外の手当も含んだ表記でされているケースが多いです。
 
基本給とはいわゆるベースとなる給与のことを指します。これに対し初任給は、基本給にプラスで固定残業代や深夜割増、企業によっては賞与まで組み込まれた金額で表記しているケースが存在します。例えば、初任給30万円の募集要項があったとして、その内訳を見ると「基本給22万円+固定残業代○時間分含む」といったような注意書きがされているケースがあります。
 
つまり、基本給とは別の手当を含めて初任給を高く見せる水増し表記をしているのです。
 

固定残業代が過度に多い企業は要注意

固定残業代とは、その名の通り、あらかじめ決まった時間分の残業代を支払う制度です。企業としては固定残業代を組み込むことで求人の見栄えが良くなる、規程時間までは残業代の計算が不要になるなどのメリットがあります。
 
この固定残業代を超えて働いた分は時間外手当として別途支払う必要があるのですが、固定残業代の時間を多く設定され、初任給に占める割合が多い企業は要注意です。長時間労働を前提とした勤務体制、いわゆるブラック企業である可能性が高いです。
 

求人票とその企業の労働実態を把握したうえで判断を

新卒入社の場合も中途入社の場合も、まずは求人票の中身をしっかりと確認することが大切です。
 
基本給と固定残業代を区別して表記しているか、固定残業時間が過度に高く設定されていないか(オープンワーク株式会社が2021年12月に公表した調査結果に基づくと、2021年の平均残業時間は24時間)、固定残業時間と企業の平均残業時間に大きな乖離(かいり)がないか、固定残業時間を超過した分の残業代はきちんと支払われているか、固定残業時間未満の労働でも固定残業代を支払われているかなどは事前に確認すべきポイントとなります。
 
高額な初任給表記は非常に魅力的ですが、内情を調べないまま入社してしまうと入社後に大きな後悔をしてしまうこともあります。事前の調査をしっかりと行ったうえで、自分にとって最適な企業へ応募することが大切です。
 

出典

厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況
株式会社ファーストリテイリング グループ企業ニュース
オープンワーク株式会社 OoenWork残業と有給10年の変化
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー