老後に年金を受け取りたいなら、きちんと保険料を支払う必要があります。とはいえ、「年収が200万円以下で生活が苦しい」など、これまで収入が少なくて、納付の余裕がなかったケースもあるでしょう。このような場合は、将来まったく受給できないかもしれないと不安に感じるかもしれません。   そこで本記事では、年金未納のリスクを紹介し、具体的な対策についても解説します。

年金を払っていない人はどうなる?

国民年金法の第88条により、国民年金の被保険者は保険料の納付が義務付けられています。20歳になると被保険者になり、そこから40年にわたって納めなければなりません。
 
保険料は物価の変動などを考慮して毎年改定され、令和5年に関しては月額1万6520円となっています。40年分の納付を完遂した人は老後に満額の国民年金を受け取れます。未納の期間が残っていると、その分だけ受給額がダウンしてしまいます。
 
それどころか、保険料納付済期間に合算対象期間や保険料が免除された期間を加えた期間が受給資格期間の10年に及ばない場合、受け取る権利自体が生じないので注意しましょう。
 
また、保険料を納めていないままにしていると、資産を差し押さえられるリスクも発生します。まず「国民年金未納保険料納付勧奨通知書」が送付され、訪問や電話でも支払いを促されます。それでも対応しないでいると、特別催告状や最終催告状が送られてきます。
 
最後通告に相当する督促状を受け取った後も未納が続くと、差押えが実施される可能性が高まります。
 

未納だと障害年金や遺族年金の対象にもならなくなってしまう

国民年金保険に加入していると、一定の要件に該当すればいざというときに障害年金や遺族年金を受け取れます。ただし、保険料を納付した期間が短い場合は、基本的にその権利も得られません。ここでは、障害年金と遺族年金がどのようなものか紹介します。
 

障害年金とは?

病気やけがなどで障害を負い、生活や仕事に支障が出た場合に一定の要件に該当すると、障害基礎年金の対象になります。
 
受給の要件は、原則として初診日が属する月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納付した期間が3分の2以上であることなどです。厚生年金保険に加入していて要件を満たすと、障害厚生年金も受給可能です。いずれも収入の低下から生活を守るセーフティネットとして重要です。
 

遺族年金とは?

国民年金の被保険者や受給資格を持つ人が死亡すると、遺族は遺族基礎年金を受け取れます。故人に生計を維持してもらっていた遺族のうち、子どものいる配偶者や子ども自身が支給の対象です。
 
受給するためには、保険料を納付した期間が、加入期間の3分の2以上であることなどが特例要件となっています。故人が厚生年金保険に加入していた場合、遺族厚生年金の受給も可能です。
 

経済的な事情で納付できない場合の対策

保険料を納めていかないと、原則的には老後に年金を受給できません。しかし、経済的な事情などで納付が困難な場合もあるでしょう。その場合には未納のままにせず、ここに紹介する年金保険料の免除制度・納付猶予制度を申請しましょう。
 

免除制度とは?

世帯主と被保険者、配偶者の所得が一定以下の場合などに、保険料の全額や一部を免除してもらえる制度です。一部とは、「4分の3」「半額」「4分の1」という3パターンです。免除が承認された期間は受給資格期間に加算されますし、受給額については全額を納付した場合から免除の割合に応じ減額されます。
 

猶予制度とは?

被保険者と配偶者の所得が一定以下なら、保険料の納付が猶予される制度です。承認された期間が受給資格期間に加算される点は、免除制度と同じです。
 
なお、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が低額となります。保険料の免除または猶予を受けた期間については、10年以内なら追納でき、年金受給額を満額に近づけることができます。
 

未納の継続は厳禁! 受給できる状態を目指そう

保険料の未納が続くと、年金を受給できない可能性があります。そうなると、自分の力だけで老後の生活資金を用意しなければなりません。また、差押えのリスクが高まり、障害年金や遺族年金が受給できなくなる可能性もあります。免除制度や猶予制度の申請も検討しつつ、未納を放置している状態の改善に取り組みましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー