会社員の方が行う年末調整。この年末調整では何をするのでしょうか? また、もしも年末調整を行わなかった場合には、どのようなことが起こるのでしょうか。

1年間の税金の精算をするための年末調整

会社員の1年間の給与総額が確定する年末に、正しい所得税の税額を算出し精算するために年末調整を行います。
 
年末調整では、年末時点での家族の状況や支払った社会保険料や生命保険料などに応じて、各種所得控除を受けることができます。また住宅ローンがある方は、一定の条件のもとに税額控除を受けることができます。
 
これらの控除を受けるためにも年末調整はとても重要な手続きです。これを行わなかった場合には、本来ならば還付されるはずの税金を受け取ることができなくなります。逆に精算をした結果、不足分があれば徴収されます。
 

年末調整に必要な手続き

年末調整を行うためには、以下の申告書を勤務先から受け取り、必要事項を記載して、添付書類と一緒に勤務先に提出します。
 

(1) 給与所得者の扶養控等(異動)申告書 
(2) 給与所得者の基礎控申告書 兼配偶者控除等申告書 兼所得金額調整控除申告書
(3) 保険料控除申告書

 

申告書と所得控除

(1)給与所得者の扶養控等(異動)申告書の提出による所得控除

12月31日時点の扶養親族の状況により、以下の所得控除を受けることができます。
 

【扶養控除】

生計を一にする年齢16歳以上の親族で、合計所得金額が48万円以下の人がいる場合
所得控除額:38万円 (1人につき)
※扶養親族が年齢19歳以上23歳未満の場合は63万円 《特定扶養》
※年齢70歳以上の場合は48万円(同居の場合58万円) 《老人扶養親族》

 

【障害者控除】

本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者の場合
所得控除額:27万円 
※特別障害者の場合は40万円、さらに同居している場合には75万円

 

【勤労学生控除】

本人の合計所得金額が75万円以下で、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得が10万円以下の学生または生徒である場合
 
所得控除額:27万円 

 

【寡婦控除】

夫と離婚した後婚姻をしていない人で、扶養親族がいて、合計所得金額が500万円以下である場合(事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいる場合は該当しません)
 
所得控除額:27万円 

 

【ひとり親控除】

現に婚姻をしていない、または配偶者の生死がわからない人で、生計を一にする子がいて、合計所得金額が500万円以下の場合(事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいる場合は該当しません)
 
所得控除額:35万円 

 

(2)給与所得者の基礎控申告書 兼配偶者控除等申告書 兼所得金額調整控除申告書による所得控除

【基礎控除】

所得控除額:48万円
※給与所得と給与所得以外の所得の所得金額の合計額が2400万円を超える場合は32万円か16万円、2500万円を超えると基礎控除はなし

 

【配偶者控除】

本人所得が1000万円以下で、配偶者の所得が48万円以下の場合
合計所得金額に応じて最高38万円(配偶者が老人控除対象配偶者の場合は、最高48万円)

 

【配偶者特別控除】

本人所得が1000万円以下で、配偶者の所得が48万円超133万円以下の場合
配偶者の所得が48万円超133万円以下の場合(配偶者特別控除)
 
所得控除額:最高38万円

 

(3)保険料控除申告書による所得控除

社会保険料、生命保険料、地震保険料を支払っている場合には、以下の所得控除を受けることができます。
 

【生命保険】

1. 一般の生命保険料
所得控除額:最高4万円(旧契約のみの場合は5万円、新旧両方ある場合は4万円)
 
2. 介護医療保険料 
所得控除額:最高4万円
 
3. 個人年金保険料
所得控除額:最高4万円(旧契約のみの場合は5万円、新旧両方ある場合は4万円)
※所得控除の合計額は1・2・3の合計で最高12万円

 

【地震保険料】

1. 地震保険料のみの場合  所得控除額:最高5万円
2. 旧長期損害保険料のみの場合  所得控除額:最高1.5万円
3. 上記1・2の両方がある場合  所得控除額:最高5万円

 

【社会保険料】

給与から天引きされている健康保険、厚生年金保険などの保険料も所得控除の対象です。
 
所得控除額:支払った保険料の全額

 

【小規模企業共済等掛金控除】

企業型確定拠出年金(企業型DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)」の掛金、小規模企業共済などの掛金も所得控除の対象です。
 
所得控除額:支払った掛金の全額

 

【所得金額調整控除】

給与収入850万円を超え、以下のいずれかに該当する場合に申告できます。
(1) 23歳未満の扶養親族がいること
(2) 本人または同一生計配偶者、扶養親族が特別障害者であること
 
所得金額調整控除額:最大15万円

 

 

まとめ

ほかにも「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することにより、税額控除を受けることができます。このように、年末調整は所得控除や税額控除を適切に計算し正しい所得額と年税額を算出る重要な手続きです。もし、申告漏れや年末調整ができなかった場合には、ご自身で確定申告をすることになるので留意しましょう。
 

出典

国税庁 各種控除について(給与所得者用)
国税庁 給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)/保険料控除申告書
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント