会社員・事業主の別なく一定以上の収入のある方は、年末調整や確定申告を行い、所得税等を納める必要があります。その際、離れて暮らす親に仕送りをしている場合であっても、一定の条件を満たすことで扶養控除の適用を受けることができ、所得税を減らすことできます。   しかし、扶養控除の条件を満たしていないと、仕送りをしていても扶養控除の適用を受けられないこともあります。所得税の納付に備え、扶養控除の仕組みと節税効果及び注意点について解説していきます。

扶養控除は親の所得・年齢と同居の有無で控除額が変わる

所得税の扶養控除は、生計をひとつにする16歳以上の配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)に対し、生活費などを援助した場合に所得税を節税できる制度です。
 
扶養控除の控除額は、扶養者の所得と、扶養しようとする親族の年齢や同居か別居かによって変動します。
 
また、所得税は、課税対象の所得が多いほど税率が高くなる累進課税のため、所得が多いほど減税額も大きくなります。
 
次に親の年齢です。親の年齢が70歳未満の場合は一般扶養親族となり、1人につき38万円が課税所得から控除されますが、もし70歳以上であれば老人扶養親族となるため控除額が48万円に増額されます(同居している場合は58万円)。
 
しかし、扶養控除の対象となる親族は重複できないため、複数人が仕送りをしている場合でも1人の納税者しか所得控除の適用を受けることはできません。
 
また、親の所得が48万円を超えてしまうと扶養に入れることはできません。所得の48万円は、給与収入のみならば年収103万円、公的年金の収入のみならば158万円以下が要件となります。
 

扶養控除による節税効果は?

扶養控除による節税効果は納税者本人の所得に左右されます。
 
例えば、年収500万円と1000万円の方がおり、所得控除が給与所得控除と基礎控除及び年収の15%相当の社会保険料控除を受ける方が、70歳以上の両親の扶養控除の適用を新たに受ける場合の節税効果を確認してみます。
 

【年収500万円の方が老人扶養親族2名の扶養控除を受けた場合の節税額】

・扶養控除適用前の所得税額
年収500万円−給与所得控除144万円−社会保険料控除75万円−基礎控除48万円=課税所得233万円
 
課税所得233万円×税率10%−控除額9万7500円=所得税額13万5500円
 
・扶養控除適用後の所得税額
年収500万円−給与所得控除144万円−社会保険料控除75万円−基礎控除48万円−扶養控除(老人扶養親族)48万円×2人=課税所得137万円
 
課税所得137万円×税率5%=所得税額6万8500円
 
年収500万円の場合の所得税の節税効果
13万5500円−6万8500円=6万7000円

 

【年収1000万円の方が老人扶養親族2名の扶養控除を受けた場合の節税額】

・扶養控除適用前の所得税額
年収1000万円−給与所得控除195万円−社会保険料控除150万円−基礎控除48万円=課税所得607万円
 
課税所得607万円×税率20%−控除額42万7500円=所得税額78万6500円
 
・扶養控除適用後の所得税額
年収1000万円−給与所得控除195万円−社会保険料控除150万円−基礎控除48万円−扶養控除(老人扶養親族)48万円×2人=課税所得511万円
 
課税所得511万円×税率20%−控除額42万7500円=所得税額59万4500円
 
年収1000万円の場合の所得税の節税効果
78万6500円−59万4500円=19万2000円

 
なお、国内で別居している親には常に生活費などの送金履歴を残す必要があります。
 

扶養控除を受ける場合の注意点を確認

扶養による節税効果が得られない場合が考えられます。扶養控除は1人の親に対して1人の納税者しか適用を受けることができません。他の兄弟親族が扶養に入れている場合は、仕送りを行っても扶養控除の適用を受けることができません。
 
また、親の所得が48万円を超えた場合も扶養に入れることができません。国内に居住している親の場合、生活費などの送金履歴を残す必要がありますが、仕送り額の要件は、現状はないので節税効果の方が仕送り額を上回ることもあります。
 

まとめ〜要件を満たすかの確認を〜

扶養控除は控除額が大きく、扶養控除の適用を受ける方の所得が多いほど所得税の節税効果も大きくなります。要件を満たすかをよく確認し、制度を有効活用していきましょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表