「配偶者の扶養を外れて収入が増えたはずなのに、家計には余裕が生まれない」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。天引きが増えた結果、働き損になっているのでは? と不安を感じる人もいるでしょう。   本記事では、扶養を外れた場合の天引き額の事例や収入が増えたはずなのに家計に余裕が生まれない理由、扶養内で働くメリット・デメリットを紹介するとともに、扶養内で働くべきかどうかの考え方を解説します。

扶養を外れると天引き額はどのくらいになる?

 
配偶者の扶養内で働いていた人が扶養を外れると、健康保険・厚生年金保険(加えて40代以降は介護保険)の負担が新たに発生し、収入が増えたことによって雇用保険、所得税、住民税の負担も増加します。年収が150万円の人の天引き額がいくらくらいになるか、おおよその金額を試算してみましょう。
 
年収150万円の人の月収は12万6000円(ボーナスなしの場合)です。健康保険料・厚生年金保険料の算定の基礎となる標準報酬月額は12万6000円です。ここに保険料率を掛けると、健康保険料は年額約7万6000円、厚生年金保険料は年額約13万8000円となります。
 
また、雇用保険料は年間約9000円、所得税:年間約1万3000円、住民税:年間約3万4000円と計算できます(※基礎控除、社会保険料控除、給与所得控除以外の控除がない場合)。全てを合計すると、年間の天引き額は約27万円となります。
 
この金額が多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれでしょうが、年収の2割に近い金額が天引きされている計算です。また、配偶者の扶養を外れると配偶者が配偶者控除を受けられなくなって税負担が増え、世帯全体で見たときの収入が減るという影響も無視できません。
 

手取りが減ったように感じるのは天引きが原因ではない可能性も

 
扶養を外れて働いても家計に余裕ができなかったり、手取りが減ったように感じたりする理由は、天引きとは別のところにある可能性があります。
 
1つ考えられるのは、収入が増えたことで財布のヒモが緩み、出費が増えてしまっているケースです。株式会社BizHitsが実施した「扶養内のパートに関する意識調査」では、扶養内で働くことに不満な理由として「もっとお金を稼いで、好きなものを購入したい」「自分の使えるお金がほとんどない」といった声が上がっています。
 
収入が増えてこのような欲求を満たせる状況になった結果、支出が増えて、家計には思うほどの余裕が生まれていない可能性があります。また、働きに出る時間や日数が増えると、通勤や仕事のために身だしなみを整える必要性が上がり、被服費や化粧品代などが増えるのもよくあることです。
 
このほか、ライフステージや物価の変化にともなう支出の増加に気付けていない可能性もあります。家計簿をつけるなど、改めて家計の収支を見直してみるとよいでしょう。
 

収入を扶養内におさえるメリット・デメリット

 
収入を扶養内におさえておくべきかどうかは、家庭によって異なります。収入を扶養内におさえるメリット・デメリットを理解して、自分の家庭ではどちらが合っているかを配偶者と話し合いましょう。
 
収入を扶養内におさえる主なメリットは、次の2点です。

●社会保険料の負担がない
●配偶者が扶養控除や扶養手当を受けられる

一方で、次のようなデメリットもあります。

●傷病手当などの保障がない
●将来の年金が少なくなる

社会保険料の負担をムダだと感じる場合は扶養内におさえる選択肢もありますが、社会保障の側面を考えると、扶養を外れて働くメリットは少なくありません。扶養を外れることで増える社会保険料の負担を軽減する「社会保険適用促進手当」などの政策によって、扶養を外れることのデメリットの一部は緩和傾向にあります。
 

メリット・デメリットを比べて扶養を外れて働くかどうか検討しよう

 
扶養を外れて働くと、天引き額は増えます。また、天引き以外の理由で、思うように家計に余裕ができないケースもあることに注意しましょう。
 
収入を扶養内におさえて働くべきかどうかは、家庭ごとの考え方によります。扶養内で働くメリット、扶養を外れるメリットそれぞれあるため、自分にとってどちらのメリットが大きいかをよく検討しましょう。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)
東京都主税局 個人住民税
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1191 配偶者控除
厚生労働省 雇用保険料率について
株式会社BizHits 扶養内パートにおすすめの仕事ランキング
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
厚生労働省 パート・アルバイトのみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー