親の中には、子どもへの影響を考慮して、生活保護を受けることについて悩んでいる方もいるようです。特に、親自身が生活保護を受けていると「子どもも生まれながらにして生活保護となってしまうのではないか」と心配することもあるでしょう。そこで、生活保護と親子について考えてみました。

生活保護は世帯単位が基本である

生活保護は世帯の全員が、自身の持つ資産や能力など、活用できるあらゆるものを活用しても最低限度の生活を維持できない場合に受けられるものになります。そのため、基本的に生活保護の受給の判断は世帯単位で行われます。
 
つまり、親が子どもの生まれる前から生活保護を受給し、子どもが生まれた後も引き続き受給しているような場合は、子どもは生まれた瞬間から生活保護を受けることになります。実際、子どものいる生活保護受給世帯には、子どものいる分「日常生活に必要な費用」として生活扶助の加算額が増加し、子どもの学習費として教育扶助が支給されます。
 
参考までに、令和5年10月1日現在、東京都区部などの都市部では、33歳と29歳の親、4歳の子どもという世帯においては、月額16万4860円、また、30歳の母親と4歳と2歳の2人の子どもという母子世帯であれば、19万6220円が生活保護費として支給されているようです。
 
※出典:厚生労働省「『生活保護制度』に関するQ&A/Q5」
 
なお、生活保護における世帯分離という制度を利用して、親と子で世帯を分けて親のみ生活保護を受給する、ということも可能ではあります。ただし、それが認められるには一定の条件を満たす必要があります。世帯分離による生活保護受給は通常簡単には認められず、現実的ではありません。
 

子どもが就職したりアルバイトで稼いだりすると?

生活保護は、働いていて収入があっても受けることができます。ただし、その収入分の生活保護費が差し引かれます。例えば、生活保護を17万円受給している世帯において、収入が6万円発生したら、支給される生活保護費は11万円になるという具合です。
 
ここでいう「収入」には子どものアルバイトも含まれます。そのため、子どもが高校生になってアルバイトを始めたり、学校を卒業してから就職したりして収入を得ると、その分の生活保護費が減額されます。
 
そのため、子どもは生まれたときは生活保護を受けていても、いずれは働けるようになると、親が働けない状態が続いても、基本的には生活保護から脱していくことになります。
 
なお、高校生のするアルバイトの場合、将来への備えとしてさまざまな控除がなされるため、収入全額がそのまま生活保護費の減額につながるわけではありません。詳細については、最寄りの社会福祉事務所へ相談してみてください。
 

生活保護を受給することは恥ずかしいことなのか

生活保護は日本が用意しているセーフティーネットの一つです。これを利用することは国民の権利であり、恥ずかしいことではありません。生活保護は単に生活費を支給するだけではなく、自立を促したり支援したりすることも目的としています。
 
厚生労働省「生活保護制度の現状について」によると、生活保護は204万人近い方が利用しているようです(令和4年6月時点)。
 
無理をして生活保護の受給を拒みつづけると、かえって子どもが苦労してしまい、子どものためにならない可能性もあります。どうしても生活保護が必要だと判断したら、子どものためにも素直に生活保護を頼ることをおすすめします。
 

まとめ

生活保護は世帯単位で認定を受けるため、基本的に親が生活保護受給者であれば、子どもも生活保護受給者となります。
 
とはいえ、子どももいずれアルバイトや就職などをしていくため、いずれは親子で生活保護から脱することもあるでしょう。子どものことを考えると、必要であれば生活保護について恥ずかしく思わずに必要な支援として頼っていいでしょう。
 

出典

厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A
生活保護制度の現状について
 
執筆者:柘植輝
行政書士