税金の計算には「扶養」が考慮されるので、独身者に比べて既婚者の方が、税金が少なくなる場合が多いです。ただ、同じように働いて年収も同じであるにもかかわらず、税金が違うとなるとふに落ちないと感じる人もいるでしょう。   本記事では、「扶養家族の有無でどのくらい税金が変わるのか」と、「既婚者が優遇されると言われる理由」について解説します。

「配偶者控除」と「扶養控除」とは

既婚者の方が独身者に比べて税金が少なくなりやすいのは、「配偶者控除」と「扶養控除」が適用される場合が多いからです。
配偶者控除と扶養控除は、税金の計算過程にある所得控除で、いずれも扶養している家族がいる場合に適用を受けられます。配偶者控除は配偶者、扶養控除は配偶者以外の扶養家族に対して使われ、控除額はいずれも基本的に38万円です。
 
つまり、結婚していて配偶者が働いておらず、子どもが2人いる場合、配偶者控除38万円と扶養控除76万円の計114万円の所得控除が受けられるということですね。
 

12月31日時点で15歳以下には扶養控除なし

中学校卒業までの子どもを育てている人に対しては「児童手当」が支給されている関係で、扶養控除が適用できる扶養家族は、「その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人」と規定されています。よって、子どもを養っているとしても扶養控除にカウントされるのは高校生からなので注意しましょう。
 

独身者と既婚者の税金の違い

それでは、独身者と既婚者で税金がどのくらい違うのか具体的に計算してみましょう。
いずれも年収400万円(社会保険料60万円)とし、独身者は扶養家族なし、既婚者は配偶者と子ども17歳、10歳を扶養しているものとします。所得控除は、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除のみを考慮します。

【独身者】

(400万円−給与所得控除124万円)−社会保険料控除60万円−基礎控除48万円=課税所得168万円
168万円×(所得税率5%+住民税率10%※)+住民税均等割5000円=25万7000円

【既婚者】

(400万円−給与所得控除124万円)−社会保険料控除60万円−基礎控除48万円−配偶者控除38万円−扶養控除38万円=課税所得92万円
92万円×(所得税率5%+住民税率10%※)+住民税均等割5000円=14万3000円

独身者の税金は約26万円、独身者は約14万円という結果になりました。年間の手取りが10万円以上も変わるので、不満を抱く人がいても不思議ではないでしょう。
 
※住民税の税率は所得にかかわらず、一律の10%となっています。なお、住民税での配偶者控除や扶養控除、基礎控除の金額は、所得税より少なく設定されていますが、本記事では計算の便宜上、所得税と同額にしています。
 

既婚者が優遇される理由

扶養家族がいる人の税金が少なく計算されるようになっている理由は、生活にそれだけお金がかかるからです。税金負担を減らすことで手取りを多くし、少しでも生活を助けられる仕組みになっています。
 
総務省統計局の家計調査によると、2人以上の世帯における消費支出の平均額は1ヶ月当たり約29万円です。これに対して単身者世帯は約16万円なので、1ヶ月当たりの生活費だけで約13万円もの差があるようです。税金が年間10万円少ないとしても、比較にならない差なのではないでしょうか。
 

まとめ

扶養家族がいる人の税金が少ないのは、生活にそれだけお金がかかるからです。
物価高騰が続き、年収は上がらないという世の中で、扶養家族がいると月々の生活費だけでも10万円以上の差があるのです。年収が同じであれば、その工面の大変さはわかるのではないでしょうか。
また、次世代の日本を担う子どもを育てていることにも目を向けなければなりません。そのため、納得できない気持ちがある場合は自分もいずれお世話になる可能性があると考えておくと良いでしょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 所得税のしくみ
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー