「高校無償化」と聞いて、高校に通うのに必要な教育費の負担がゼロになるイメージを抱いている人は多いのではないでしょうか。しかし実際には、高校無償化制度を使っても教育費負担はゼロにはならず、ある程度の資金が必要です。   本記事では、高校無償化制度の概要や仕組みを紹介するとともに、公立高校、私立高校それぞれの学校教育費の目安を解説します。高校に進学するとどのくらいの費用負担が発生するのか、具体的にイメージしてみましょう。

高校無償化は授業料のみに適用される制度で所得制限もある

高校無償化(高等学校等就学支援金制度)は、授業料に充てる就学支援金を支給して、教育費の経済的負担を軽減し、教育の機会均等などを促進することを目的とした制度です。国公私立すべての高校などに子どもが在学する世帯のうち、所得要件を満たす世帯の生徒に、授業料に相当する支援金が支給されます。
 
例えば、両親が片働きで、子どもが16歳以上の高校生1人、中学生1人の世帯の場合、年収約910万円未満が支援金を受けられる目安です。ただし、東京都など一部の自治体は、高校無償化の所得制限の撤廃を進めています。今後、さまざまな自治体で所得制限がなくなる可能性があるでしょう。
 
支援金の金額は、公立高校(全日制)に在学の場合、定額授業料に相当する年額11万8800円です。授業料負担は実質0円になります。私立高校(全日制)に在学の場合は、年収などに応じて最大で年額39万6000円まで金額が上乗せされます。授業料との差額がある場合は、各世帯で負担しなければなりません。
 

高校でかかる主な費用の目安と内訳は?

高校では、どのような費用がいくらくらいかかるのでしょうか。日本政策金融公庫が公開している学校種別ごとの初年度の学校活動費を見ると、主に次のような費用が必要となることが分かります。


●入学金等
●授業料
●修学旅行費等
●学校納付金等
●図書・学用品・実習材料費等
●教科外活動費
●通学関係費

それぞれいくらくらい必要なのか、公立高校、私立高校に分けて見てみましょう。
 

公立高校の場合

公立高校に通う子ども1人あたりの初年度の学校活動費の内訳は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

費用項目 金額
入学金等 1万6143円
授業料 5万2120円
修学旅行費等 1万9556円
学校納付金等 3万2805円
図書・学用品・実習材料費等 5万3103円
教科外活動費 3万9395円
通学関係費 9万1169円
その他 4970円
合計 30万9261円

日本政策金融公庫「教育資金はいくら必要? かかる目安額をご紹介」より筆者作成
 
学校教育費の総額は約31万円です。このうち授業料を除く約26万円は、世帯で負担しなければならない可能性が高いでしょう。
 

私立高校の場合

私立高校に通う子ども1人あたりの、初年度の学校活動費の金額と内訳は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

費用項目 金額
入学金等 7万1844円
授業料 28万8443円
修学旅行費等 2万6549円
学校納付金等 11万5808円
図書・学用品・実習材料費等 6万4259円
教科外活動費 4万7013円
通学関係費 12万9155円
その他 7291円
合計 75万362円

日本政策金融公庫「教育資金はいくら必要? かかる目安額をご紹介」より筆者作成
 
公立高校と比べると、授業料・学校納付金等・通学関係費などで私立の高さが際立ちます。学校教育費総額約75万円のうち、授業料以外の約46万円は、高校無償化制度を使ってもまかなえない費用です。
 
また、授業料が高校無償化の支援額を上回る場合は、差し引きの金額も自分で負担しなければなりません。
 

高校無償化では高校の費用はゼロにならない

高校無償化は、高校でかかるすべての費用を無償にする制度ではありません。支援金の対象となるのは授業料に相当する部分であり、それ以外の費用は世帯で負担しなければなりません。
 
高校でかかる授業料以外の学校教育費の目安は、公立高校の場合は初年度で1人あたり約26万円、私立高校の場合は約46万円です。進学する学校にもよりますが、ある程度まとまった金額が必要になる可能性があることを理解し、資金を用意しておきましょう。
 

出典

文部科学省 高等学校等就学支援金制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー