物価の高騰や年金不足の影響から、老後への不安は大きくなる一方でしょう。定年退職後も働きながら暮らしている方がいるなかで、老後は働かずに、のんびり過ごしたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。   そこで今回は、老後にかかる生活費を確認しながら、いくら貯金があれば生活できるのかを解説します。「定年退職後に働きたくはないけれど、老後の生活は不安……」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

65歳以上の夫婦における生活費

定年退職後、働かずに生活するには、年金と貯蓄でやりくりする必要があります。年金不足が懸念されるなか、一体いくら貯蓄しておけば生活していけるのかを把握しておくことが大切です。
 
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における支出(月額)は、表1の通りです。
 
表1

非消費支出 消費支出
夫婦のみ無職世帯 3万1812円 23万6696円 26万8508円

※総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」を基に筆者作成
 
家庭によって支出には差が見られますが、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における月の支出は、約26万8508円です。1年に換算すると約322万2096円であり、仮に90歳まで夫婦で生きた場合、およそ8055万2400円の支出となります。
 
あくまでも平均値での計算ですが、この支出を年金もしくは貯蓄でまかなわなければなりません。
 

1500万円の貯蓄で何年生活できるのか?

65歳以上の夫婦における支出が分かったところで、毎月の年金と1500万円の貯蓄で何年生活できるのかを計算してみます。
 
まず、日本年金機構が発表している令和5年4月分からの年金額を見てみましょう。夫婦2人分の標準的な老齢基礎年金(国民年金)を含む厚生年金の支給額は、22万4482円(月額)とのことです。
 
前述した支出から差し引くと、不足分は約4万4026円になります。1年間で不足分は約52万8312円となり、1500万円の貯蓄でまかなう場合、約28年生活できる計算となります。65歳で定年退職したと仮定すると、夫婦で93歳まで年金と貯蓄で生活できるといえるでしょう。
 
ただし高齢になると、けがや病気のリスクが高まります。医療費や介護費などが追加で必要になる可能性もあり、その場合には、上記よりも多くの支出が考えられるでしょう。
 

1500万円の貯蓄があれば、毎月の年金と合わせて90歳以上まで生活できる

今回の計算結果より、質素な生活を送り、平均額程度に支出を抑えられれば、定年後に働かなくても、1500万円の貯蓄と毎月の年金でおよそ93歳まで暮らせることが分かりました。ただし、家庭によって支出に差があることや、あくまでも平均値による目安であることを念頭に置いておきましょう。
 
老後の状況によっては、予想していた時期よりも早く貯蓄がなくなる可能性もありますので、余裕ある資金を準備しておくことが大切です。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 −2022年−(18ページ)
日本年金機構 大切なお知らせ 2023年 4月 令和5年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー