定年退職などをして定期的な収入がなくなると、今後は貯蓄や年金をもとに生活していくことになります。もらえる年金の金額を増やしたい場合、どんな方法をとればよいのでしょうか。   今回は、今からでも間に合う、年金額を増やす方法をチェックしていきましょう。

もらえる年金の金額は?

まず、自分が毎月どのくらい年金を受け取ることができるのか、確認しておく必要があります。
 
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度末現在、厚生年金保険(第1号)の老齢給付受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額を含めて、老齢年金が約14万5000円となっています。また、国民年金のみを受給する場合、老齢年金受給者の平均年金月額は、令和4年度末現在で約5万6000円となっています。
 
自分がもらえる年金額について、さらに詳しく知りたいという場合は、「ねんきん定期便」をチェックしてみましょう。特に50歳以上の方に送られる場合、ねんきん定期便には、「現在の加入条件が60歳まで継続する」と仮定した場合にもらえる年金の見込み額が掲載されています。多少の誤差はありますが、参考になる金額なので、ぜひ調べておきましょう。
 

年金を増やす方法

では、受け取る年金額を増やす方法をチェックしていきます。
 

1.年金の受給開始年齢を遅らせる

老齢基礎年金(老齢厚生年金)は、65歳で受け取らずに、年金の受給開始時期を66歳以後75歳までとした場合、年金額を増やすことが可能です(年金の繰下げ受給)。遅くした期間は「繰下げた期間」とよばれ、その分だけ一定の増額率に従って年金額が増額されます。
 
この増額率は「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」の式で計算でき、一生変わりません。さらに、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げることが可能です。
 
なお参考までに、「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から老齢厚生年金受給権者(年金を受ける権利を持っていて、本人の請求により裁定された者であり、全額支給停止されている者も含む。出典元の統計では特別支給の老齢厚生年金の受給権者を含まない)の繰下げ受給状況を見ると、繰下げ受給をしている人の割合は、全体の1.3%となっています。
 

2.付加年金に加入する

第1号被保険者・任意加入被保険者(後述)が定額保険料に付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると、将来受け取る老齢基礎年金に、一定額の付加年金が上乗せされます。
 
例えば、20歳から60歳までの40年間にわたって付加保険料を納めた場合、200円×480月(40年)=9万6000円(年額)が「付加年金額」として、老齢基礎年金に上乗せされます。
 

3.支払っていない年金保険料がないかチェックする

大学生時代に学生納付特例を利用した人や、年金保険料の免除・納付猶予を受けた経験がある人は、支払っていない保険料を追納することによって、受け取れる年金額を増やすことができます。
 
また、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などは、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。なおこの任意加入制度は、厚生年金保険および共済組合等加入者を対象としていません。
 
いずれにしても、自分が支払っていない年金保険料がないか確認してみましょう。
 

4.その他の年金への加入を検討する

「国民年金基金」とよばれる、老齢基礎年金に上乗せする第1号被保険者のための公的な年金制度や、税金の優遇措置を受けながら自分でお金を運用する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」とよばれる制度の活用を検討してみましょう。
 
どちらも加入条件等があるので、自分が加入できるのか、加入できるとしたらどのくらい年金を増やすことができるのか、調べることが重要です。
 

まとめ

実は、年金額を増やす方法はいろいろあります。今回紹介した内容を参考にして、豊かな老後の生活を送るために、年金を増やす方法を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者