AIなどの発展により、近年はファミレスなどで猫型ロボットを顧客サービスに活用しているケースが増えています。人件費削減に貢献しているようですが、来店客がこのロボットにぶつかり料理をこぼしてしまう事故を起こした場合は、どのような責任が発生するのでしょうか。今回は、お店の接客ロボットとぶつかった場合の損害賠償責任の考え方とその金銭的な負担を補償するための保険について紹介します。

損害賠償請求とは?

損害賠償請求とは、他人の行為によって生じた損害を補てんするために行う法的なプロセスです。この権利は、民法第七百九条で「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。
 
ファミレスの猫型ロボットにぶつかって料理を台無しにするなど、誰かが他人の財物を破損させた場合、被害者(ここではファミレス)は損害賠償を請求することが可能です。しかし、単に被害を受けただけでは賠償請求は成立しません。損害賠償請求が認められるためには、いくつかの重要な要素が必要です。
 
まず、加害者には責任能力が必要です。例えば、未成年者や精神的に判断能力がない者は、その行為に対する完全な責任を問われない可能性があります。次に、加害者に故意または過失があることもポイントです。故意とは、他人に損害を与えることを知りながら行動をすることを指し、過失は損害が発生する可能性を予見しながら適切な対策を講じなかったことを意味します。
 
加えて、加害行為に違法性がなければなりません。法律に反する行為や他人の権利を侵害する行為がこれに該当します。また、被害者に実際に損害が発生していることが重要です。損害とは、財産的損失や精神的苦痛など具体的な不利益のことを指します。最後に、加害行為と損害の発生の間に因果関係があることも必要です。
 
これらの条件は、損害賠償請求が適切に行われるための基礎となります。つまり、損害賠償を請求するためには、これらの要件を満たす必要があるのです。それぞれの要件がどのように適用されるかは事案によって異なります。具体的には、裁判官が決めることになるため、まずは裁判を起こすことになるでしょう。
 

個人賠償責任保険とは?

損害賠償請求を受けた場合の金銭的負担は、個人賠償責任保険でカバーできる場合があります。個人賠償責任保険とは、個人やその家族が日常生活で他人に損害を与えてしまった場合に備える保険です。
 
この保険は、誤って他人を傷つけたり他人の物を壊したりしたときの損害賠償金や関連する費用をカバーしてくれます。具体的には、「自分の子どもが遊んでいる際に他人の物を壊した」「ペットが他人にけがをさせた」といったケースなどです。
 
ファミレスの猫型ロボットにぶつかって料理を台無しにした場合にも適用されるでしょう。一般的に、個人賠償責任保険は家庭内や日常生活で起こる事故に焦点を当てているため、多くの場合、火災保険や傷害保険、自動車保険などとセットで契約することも少なくありません。
 
保険の適用範囲や条件は、契約内容によって異なりますが、一般的には保険金額や保険期間を設定して契約できます。ただし、故意による損害や家族間での事故、仕事中の事故などは通常カバーされません。
 

心配な人は個人賠償責任保険の検討を

ファミレスの猫型ロボットとの事故による損害賠償責任の有無は、事故の状況によって異なってきます。これは、損害賠償請求のための諸条件がそろうことで賠償責任が決まることが理由です。
 
ただし、実際には料理が台無しになったという理由で裁判に持ち込むことは費用対効果を考えても現実的でありません。なお、このような場合に備えて個人賠償責任保険という制度があることを覚えておくとよいでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第七百九条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー