有給休暇を申請したところ、上司から「賞与の査定に響く」と言われてしまった場合、申請を取り下げるべきか悩まれる人も多いと思います。有給休暇の取得を理由に査定を下げられてしまうことがあっていいのでしょうか。   本記事では、有給休暇の取得は労働者の権利であることについて、関連判例とともに詳しくご紹介します。

年次有給休暇は労働者に与えられる「権利」である

有給休暇は通常の休日とは別に与えられる休暇のことで、労働者の心身の疲労回復とリフレッシュを主な目的としています。
 
厚生労働省によると、有給休暇は労働基準法が労働者の「権利」として認めているものであり、一定の条件を満たしている労働者には必ず付与されるものとしています。有給休暇が付与される労働者の条件は、以下の通りです。
 

・その会社で働き始めてから6ヶ月以上継続して勤務している
・全労働日の8割以上出勤している

 
上記の条件を満たしていれば、雇用形態に関係なく決まった日数の有給休暇が与えられるのです。
 
※出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「リーフレットシリーズ労基法39条」
 

有給取得を理由に会社がマイナス評価を与えることは認められるのか?

労働基準法第百三十六条には、使用者は労働者に対して、有給休暇を取得したことを理由に賃金を減額するなど、不利益な取り扱いをしないようにしなければならない旨が記載されています。
 
上司から「賞与の査定に影響する」と言われた労働者は、有給休暇を取得しづらくなることが考えられます。このように、有給休暇の取得を事実上抑制するような会社の行為は「不利益な取り扱い」と判断され、労働基準法上「問題がある」可能性が高いとみていいでしょう。
 

関連判例を参考にして考える

有給休暇の取得により不利益な取り扱いを受けた例として、昭和51年3月4日に横浜地裁で判決が下された「大瀬工業事件」について確認しておきましょう。
 
この会社では、就業規則で出勤奨励金制度が定められていました。従業員が年次有給休暇で欠勤したところ、会社側からは「通常の欠勤」として取り扱われ、出勤奨励金が支払われませんでした。従業員がその支払いを請求し、裁判になった事例です。
 
この裁判では「年休を取得して休んだ日がある」ことを理由として出勤奨励金を支払わないことは、労働者に対する「不利益な取り扱い」であると判断できるため違法、という判決が下されました。
 

「有休を取ったらマイナス査定」は違法の可能性がある

有給休暇は「権利」として、勤務における条件を満たした労働者に与えられているものです。有給休暇を取得することで、会社が労働者に対して「賞与の査定を下げる」または査定に響くなどとプレッシャーをかける不利益な取り扱いをすることは、労働基準法違反になる可能性が高いでしょう。
 
過去の判例でも有給休暇を取得した労働者に対する会社側の不利益な取り扱いが「違法である」と判断されているため、詳しく確認しておくといいでしょう。
 

出典

厚生労働省 労働条件に関する総合情報サイト 確かめよう労働条件 Q&A 年次有給休暇
デジタル庁e−Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百三十六条
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 リーフレットシリーズ労基法39条
公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会 労働基準関係判例一覧 全情報 01445
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー