年金の受給額をアップさせる方法のひとつに、繰下げ受給があります。繰下げ受給を活用すれば、繰下げた期間だけ年金の受給額が加算されるのです。しかし、待機期間中に受給予定者が死亡してしまったらどうなるのでしょうか。そのような場合、受給せずに待機したことは結局無駄になってしまうのかということを詳しく解説します。

そもそも繰下げ受給とは?

まずは繰下げ受給の制度についておさらいしておきましょう。繰下げ受給とは、1ヶ月受給を遅らせるごとに0.7%が受給額に加算される制度です。最大の75歳まで受給を繰下げた場合、受給額に84%が加算されます。
 
仮に、老齢基礎年金を令和5年度の満額である年間79万5000円受給できる人が75歳まで受給時期を遅らせた場合、75歳の時点で受け取れる年金額は年間で146万2800円になります。
 
この繰下げ受給は老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金にも適用可能です。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方だけ繰下げるということもできます。そのため、自身のライフプランに合わせてどの年金をどれだけ遅らせるかを検討すれば、より効率的に年金を活用できるでしょう。ただし、特別支給の老齢厚生年金には繰下げ受給制度がないので注意が必要です。
 

待機期間中に死亡した場合はどうなるの?

繰下げ受給を選択し、本来受け取れる年齢であるものの受け取っていない期間を待機期間と呼びます。この待機期間中に受給者が死亡してしまった場合はどうなるのでしょうか。その場合、受給者本人は年金を受け取ることができません。
 
しかし、日本年金機構のホームページを見ると「年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。」としています。
 

未支給年金を受け取れる遺族の条件とは

それでは、どのような遺族が未支給年金を受け取れるのでしょうか。未支給年金を受け取れる遺族は、受給者が死亡した時点で生計を同じくしていた配偶者や子、親、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族です。
 
受給者が死亡した場合、遺族は受給者の年金証書と死亡したことが証明される書類を添付した受給権者死亡届を年金事務所や年金相談センターに提出しなければなりません。さらに、未支給年金を受け取るための請求書の提出が必要です。
 
請求書には、亡くなった受給者の年金証書のほかに戸籍謄本など続柄が確認できる書類、住民票など生計を同じくしていたことが分かる書類、受け取りを希望する金融機関の通帳を添付します。
 
遺族が未支給年金を受け取った場合、その額が50万円以上であれば一時所得として確定申告の必要があることを留意しておきましょう。
 

待機期間中の年金は遺族が受け取れる!

繰下げ受給を選択すると、待機期間中の年金を受給できません。しかし、万が一待機期間中に死亡してしまった場合には、本来受け取れるはずだった年金額を遺族が受け取れます。
 
そのため、配偶者や子供と一緒に暮らしている人は、仮に繰下げ受給の待機期間中に死亡してしまったとしても、年金が無駄になってしまうことはありません。ただし、計算の元となる金額には繰り下げによる増額分は反映されない点を覚えておきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー