高齢化社会において重要な仕事であるのに、給与があまり高くないとされている職業のひとつが「介護職」です。仮に自分や家族のパートナー候補が介護業界で働いていて給与が高くなかった場合、結婚後に経済的な苦労をしないか、心配になるかもしれません。   本記事では、介護職の給与の実態を詳しく解説します。

介護職員の平均給与を調べてみた

厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職員の平均給与額は約32万円でした。
 
年収にして400万円弱といったところです。「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、全体平均年収が458万円なので、介護職員の給与は平均こそ下回りますが、決して暮らしていけないというほど低いというわけではなさそうです。
 
それでは、「30歳で手取り21万円」がこの平均より低いのかについて考えてみましょう。
 
手取りが21万円ということは額面給与が25万円〜28万円といったところです。つまり、ボーナスがないとすれば年収が300万円〜336万円といったところになります。ボーナスがあればこれよりも高いでしょう。
 
介護職員の平均月32万円よりは少ないものの、極端に差があるともいえないでしょう。
 
なお、総務省の「家計調査報告−2023年(令和5年)11月分−」によれば、消費支出(2人以上の世帯)は、1世帯当たり28万6992円でした。つまり、1ヶ月あたりの生活費が約29万円と考えると、共働きであれば生活には問題ない水準です。
 

そもそも介護職の給与はなぜ安いのか

介護職の給与は極端に低くはありませんが、高いとも言えません。理由として考えられることを3つ列挙します。
 
介護職は「介護福祉士」という国家資格があることからもわかるように、本来は高い専門性を持つ仕事でもあります。しかし、未経験者や無資格者を安い給与で雇用している事業所もあるのが実情です。
 
次に、介護報酬の特性が挙げられます。一般的なサービスとは違い、介護サービスはあくまで介護保険の枠内で行うものです。介護報酬にも上限があるため「利用者が増えれば給与が増える」という単純な理屈は通りません。
 
加えて、介護事業所にはサービス類型や職種ごとの人員配置基準が定められています。「利益が出なければ人員を削減する」ということもできないため、給与も上がりにくいという特殊な事情があります。
 
さらに、介護業界自体が内部留保率の高い業界として知られています。内部留保額とは、施設運営などの安定を考慮した資産のことです。施設の運営の安定性を保つために必要ではありますが、あまりに大きくなると職員への給与やボーナスに還元されず、安いまま据え置かれるという問題につながります。
 

給与を上げるための方法

介護職の給与の安さは業界の事情に由来する部分もありますが、工夫次第で給与を上げることは可能です。
 
給与の良い施設に転職したり、ケアマネジャーや介護支援専門員の資格を取ったりなどさまざまな方法でのキャリアアップを目指しましょう。また、ユニットリーダーやフロアリーダーなど、役職がある職務についたりすることも有効です。責任が大きくなる分、給与とやりがいも格段にアップします。
 

まとめ

介護職の大きな強みは、日本全国で比較的需要があることです。そもそも、日本は世界でも類を見ない長寿国ですから、その分介護への必要性も年々高まっています。
 
人手不足に陥っている事業所も多くあるため、Uターン・Iターン就職するという場合でも、転職先を見つけやすいでしょう。
 
また、人間を相手にする仕事であるため、AIに代替されることはまずありません。体力勝負ではありますが、やり方次第で長く続けていける職業といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
総務省 家計調査報告−2023年(令和5年)11月分−
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー