老後を迎えるにあたり、さまざまな準備を始める人は多いのではないでしょうか。住まいの問題もその1つにあげられます。結婚とほぼ同時期に家を購入した場合、定年時には築年数が30年を超えるというケースは少なくありません。   老朽化や使い勝手などを考え、住み替えを検討する人は多いものです。今回は、夫婦世帯が老後を迎える前に考えておきたい住まいについて解説していきます。

定年退職後に賃貸に住むメリットとデメリット

住宅ローンが完済している場合、持ち家を売却する手続きはそう難しくはありません。そこで、定年退職後に家を売り、賃貸物件に住み替える際のメリットとデメリットを紹介していきます。
 

・メリット

家を売却できれば、売ったお金を老後資金にあてられます。預貯金が十分でない場合でも、まとまった資金を作れるのはメリットです。広い家を手放して手頃な間取りのマンションなどに引っ越せば、掃除の手間もそれほどかかりません。共用部分の掃除や故障の際の修繕は、管理会社が行ってくれるのもメリットです。
 

・デメリット

賃貸の場合、高齢世帯との契約に消極的な場合もあります。特に退職後となると、なかなか物件が決まらないことも想定しておいた方がいいでしょう。1番のデメリットは、毎月家賃がかかることです。
 
例えば、2LDKや3DKの集合住宅を都内で借りるとすると、23区外では1ヶ月9万円ほどはかかります。1年だと「9万円×12ヶ月」で108万円の出費です。
 
厚生労働省が発表している「令和4年簡易生命表」では、男性の平均寿命は約81歳、女性の平均寿命は約87歳になっています。夫が60歳のときに9万円の物件を契約し、平均寿命まで21年住んだとすると「108万円×21年」で2268万円の家賃が必要です。
 
更新手数料や家財保険などを考えると、それ以上かかります。かといって家賃の額を下げようとすると、築年数が古い物件に住むが一般的です。それでは、持ち家を手放す意味がありません。
 

老後を前に持ち家を手放すのは正解なのか?

総務省統計局がまとめた「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」で「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支」を見ると、1ヶ月の消費支出は23万6696円です。
 
このうち、住居費は6.6%で、1万5578円となっています。このデータは持ち家世帯も賃貸世帯も区別されていないため、賃貸に住んでいる世帯は住居費がもっとかかることが想定されます。
 
先ほど試算した家賃で考えると、住居費は38%ほどにふくらみます。実際に受け取れる年金などが多ければ話は別ですが、余裕がない世帯も出てくるでしょう。
 
総務省統計局のデータにある1ヶ月約1万5000円の住居費は、年間にすると18万円ほどの金額です。持ち家がある場合、毎年必ずかかる住まいの出費は固定資産税くらいしかありません。地価にもよりますが、固定資産税程度の出費ならデータに近い出費でまかなえることが多いでしょう。
 

老後は持ち家があったほうが安く抑えられる

住宅ローンが完済しているなら、老後はそのまま住み続けるほうが出費を抑えられます。築32年だと、老朽化は見られても住めないほどの古さとはいえないでしょう。
 
退職金の一部で必要な箇所だけリフォームをすれば、問題なく住むことは可能です。賃貸に移れば毎月家賃はかかりますから、家を売却できても、売った分のお金が家賃で消えていく可能性が高いでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー