仕事量が多い、人手が足りないなどの事情でやむを得ずサービス残業をしているという人もいるでしょう。サービス残業は、残業代がもらえないため、残業時間が増えるほど、損失も大きくなってしまいます。   本記事では、一般企業でのサービス残業の状況と、毎月30時間のサービス残業を続けたら、定年までにどれだけの損失になるのかを紹介します。

サービス残業とは?

サービス残業とは、残業代が支払われない残業のことです。「賃金不払残業」とも呼ばれています。企業と雇用関係にある労働者が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働したにもかかわらず、割増賃金が支払われないケースがサービス残業に該当します。
 
「仕事を持ち帰って自宅で作業する」「就業時間外での打ち合わせ」「所定の始業時間より早く業務に取り掛かる」などといったように、サービス残業の実態はさまざまです。
 
残業そのものは、違法ではありません。ただし、従業員にサービス残業をさせることは違法です。従業員が時間外労働または休日労働をした場合は、事業主は割増賃金を支払うことが労働基準法第37条第1項によって義務付けられているからです。
 

ほかの人はどのくらいサービス残業をしている?

法律違反だと分かっていても、サービス残業をせざるを得ない人は少なくないようです。日本労働組合総連合会が2014年に実施した「労働時間に関する調査」によると、賃金不払い残業(サービス残業)をせざるを得ないことがあるとの問いに対して、「ある」と答えた人が全体で42.6%もいました。
 
正規労働者の役職別でみると、一般社員が48.6%、主任クラスが57.8%、係長クラスが63.9%、課長クラス以上が55.2%でした。この調査から、社内での立場が上になるほど、サービス残業を行う人が多いことが分かります。
 
では、労働者は月にどの程度の残業をしているのでしょうか。厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査令和4年分結果確報」によると、一般労働者の所定外労働時間の平均は13.8時間でした。この数値と比べると、月30時間のサービス残業は、非常に多いといえるでしょう。
 

月に30時間のサービス残業を定年まで続けた場合の損失

月に30時間のサービス残業を続けたら、定年するまでの損失はどの程度になるのでしょうか。残業代を求める計算式は、「1時間あたりの基礎賃金 × 割増率 × 残業時間」です。増率は、労働の種類によって異なります。
 
月60時間までの時間外労働は25%以上、月60時間を超える時間外労働は50%以上、法定休日残業は35%以上、深夜残業(22時〜5時まで)は25%以上です。
 
正社員の場合は在籍年数が上がると年収も上がりやすい傾向ですが、ここでは時給を1500円と仮定して計算してみましょう。月の時間外労働残業代は5万6250円(1500×1.25×30)です。年間では、67万5000円となります。
 
定年を60歳とすると、大卒で入社した22歳の新社会人が定年を迎えるまでの期間は38年です。この年数で計算すると、定年までの残業代は、2565万円となります。
 

サービス残業をさせることは違法! 働き方の見直しや転職を検討するのも手

定年までサービス残業を続けたら、金銭的な損失だけでなく、心身面の負担も大きくなってしまうことでしょう。まずは、残業が発生しないように、業務効率化の手段を考えることや、仕事量の調整をするなど、働き方を見直してみるのも良いでしょう。
 
会社に相談しても労働環境の改善が見込まれない場合には、思い切って転職するのも一つの方法です。未払いのサービス残業代は、会社に請求できますので、損失が気になるのであれば思い切って申し出てみるのも手です。社内での相談が難しい場合には、労働基準監督署や、社会保険労務士、弁護士などの専門家に相談する方法もあります。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報
日本労働組合総連合会 労働時間に関する調査
厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署 賃金不払残業(サービス残業)の解消のための取組事例集
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー