「働き方改革」の一環で時間外労働の上限が制限されるなど、労働条件の改善が各企業で進められています。その一方で、時間外労働の上限内で収まるように、定時の労働時間を超えて仕事をする場合に家に持ち帰る、いわゆる「持ち帰り残業」が増えているケースもあり問題になっています。   持ち帰り残業は、タイムカードといった労働時間が把握できる仕組みがないため、残業時間も分かりません。このことから残業代が認められないようにも思えます。   そこで本記事では、持ち帰り残業をした場合に残業として認められるのかについて解説していきます。

残業と労働時間

残業は「所定の労働時間」を超えて労働することです。所定の労働時間は会社ごとに決められています。例えば、始業時間が8時30分で終業時間が17時の場合、休憩時間が1時間だとすると所定労働時間は7時間30分です。17時以降も労働する場合は残業となります。
 
また、法律で定められている「法定労働時間」もあります。法定労働時間は1日8時間、1週間40時間です。この法定労働時間を超えると、「時間外労働」となります。時間外労働になると、割増賃金が発生する仕組みです。賃金の割増率は25%以上になります。時間外労働が60時間を超えると、割増賃金は50%以上です。
 
労働時間は、「使用者(会社)の指揮命令下にある時間」で、「使用者の指示によって労働者が業務にあたる時間」を指します。使用者の指示は明示だけでなく黙示も含まれます。そのため、使用者の指揮命令下になく、使用者の指示もないにもかかわらず業務を自主的に行っている場合は労働時間に該当しません。
 

基本的に「持ち帰り残業」は残業にならない

自宅で業務をする場合は基本的に残業にはあたりません。自宅で仕事をする場合は、使用者が労働時間の把握をすることが困難です。それだけでなく、プライベートな空間である自宅での作業は使用者の指揮命令下にある状態とはいえないでしょう。
 
また、自主的に仕事を自宅でする場合は、使用者の指示で業務を行ってはいないので、残業とならない可能性が高いです。
 

持ち帰り残業が残業として認められる場合

一方、持ち帰り残業が残業として認められる場合があります。例えば、使用者が持ち帰り残業を指示し、労働者がそれに応じた場合です。会社のパソコンを持ち帰って残業をすることや残業時間を自己申告する場合がこれにあたります。
 
会社のパソコンで業務をすることで、パソコンの使用時間から使用者は労働時間を把握することが可能です。自己申告の場合は、仕事量と申告した労働時間に乖離(かいり)があると適切に労働しているのか確認されます。
 
この際、パソコンの使用時間だけでなく、成果物に対する仕事量なども総合して労働時間だと認められれば、残業として認められる場合があります。残業として認められれば残業代の請求は可能です。
 
また、実際には残業であるにもかかわらず、記録上は法定労働時間を守っているようにすることが慣習になっている場合は問題です。このような場合は厚生労働省のガイドラインに合わせて改善が求められます。
 

働いた分の残業代を請求できるようにしましょう

持ち帰り残業は使用者が労働時間の把握をすることが難しいので、残業として認められない可能性が高いです。残業として認められる場合は、労働時間が客観的にわかるようにパソコンの使用時間や成果物にかかる時間を提示する必要があります。
 
また、使用者の明示、もしくは黙示の指示があることが重要です。定時の時間内に終わらない仕事量を指示した場合は、残業を指示していなくても黙示の指示があったと認められる場合があります。労働時間を適切に把握し、働いた分は残業代を請求できるようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 時間外労働の上限規制わかりやすい解説
東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー