派遣社員はパートやアルバイトよりも時給が高い、残業が少ないというイメージをもっている人は多いでしょう。   また正社員の人が、同業務の派遣社員と賃金の比較で時給換算して同じだったら、派遣社員として働くほうがメリットは多いように感じる人もいるかもしれません。   そこで本記事では、派遣社員と正社員の賃金は、そもそも同じなのか、違うとすればどれくらいの差があるのかを紹介します。

派遣社員と正社員の賃金を時給換算すると同じ金額になる理由

派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業に労働を提供します。
 
厚生労働省は、平成30年労働者派遣法改正で、同じ企業に勤務し仕事内容や責任の範囲、負担が同じであれば、雇用形態が異なっても同じ待遇にしなければならないとする「派遣社員の同一労働同一賃金」を定め、公表しました。
 
なお、この定めは令和2年4月から施行されています。同じ仕事をする正社員と派遣労働者の時給が同じであるのは、この定めが根拠といえるでしょう。
 

派遣社員と正社員との賃金はどこが違う?

派遣社員の賃金には基本給の他にボーナスが含まれているため、同じ非正規雇用のパートやアルバイトと比べて時給が高い傾向です。派遣社員の場合、ボーナスを賃金とは別にもらえることはほとんどありません。ボーナスとは、日給や月給とは別のタイミングで支給される賃金のことをいいます。
 
ボーナスは法律で支給を義務付けられているわけではないため、正社員として働いていてもボーナスを受け取れるとはかぎりません。ボーナスが支給される場合は、企業に正社員として勤務している人に対して支給します。
 
パートやアルバイトにも正社員より低い金額で支給する企業もありますが、派遣社員には支給されません。正社員と派遣社員の時給が同じであったとしても、毎月の賃金とは別にボーナスをもらえる正社員は、派遣社員より年収が多くなるでしょう。
 
また、正社員は年に一度など、決まった時期に昇給の可能性がありますが、派遣社員には昇給の可能性はほとんどありません。
 

正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金はどれくらい違うのか

正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金はどれくらいの違いがあるのかを、統計調査をもとに検証してみましょう。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によれば、正社員・正職員の賃金は男女計で32万8000円であるのに対し、正社員・正職員以外の賃金は男女計で22万1300円です。
 
男女別では、男性の正社員・正職員の賃金は35万3600円であるのに対し、正社員・正職員以外の賃金は24万7500円となっています。女性の正社員・正職員の賃金は27万6400円であるのに対し、正社員・正職員以外の賃金は19万8900円です。
 
正社員・正職員以外は、男女ともにすべての年代において正社員・正職員より賃金が低い傾向がみられます。
 
なお、参考までに、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2022」によれば、大学卒業後に同じ企業で60歳までフルタイムで働き続けた場合の生涯賃金は、大学卒の男性が2億8000万円、大学卒の女性が2億4000万円です。
 
学校卒業後に60歳までフルタイムで働き続けた場合の生涯賃金は、大学・大学院卒の男性が2億6000万円、大学・大学院卒の女性が2億1000万円となっています。
 
学校卒業後にフルタイムの非正社員になり、60歳まで働き続けた場合の生涯賃金は、大学・大学院卒の男性が1億6000万円、同じく大学・大学院卒の女性が1億2000万円です。これらの統計調査の結果から、正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金には大きな格差があることから見て取れます。
 

正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金格差は大きい

正社員と派遣社員で同じ仕事をしている人が時給換算すると同じ金額であったとしても、現実的には同じではありません。派遣社員は時給にボーナス分も含まれていますが、ボーナスを支給する企業に正社員として勤務していれば、給与とは別にボーナスが支給され、昇給の可能性もあります。
 
正社員は定年まで同じ企業で働くことができますが、派遣社員は1つの派遣先で最長3年までしか働けません。正社員は雇用の安定性や生涯賃金を多くもらえる点でメリットが多い働き方といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省・都道府県労働局 派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要(平成30年労働者派遣法改正)
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2022 21 生涯賃金など生涯に関する指標
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー