定年退職といえば、還暦である60歳を思い浮かべる方は少なくありません。定年として60歳を設定している企業も多くあります。   しかし、実際に60歳で退職をすると、収入源がなくなってしまう方もいるため、注意が必要です。また、老齢厚生年金の金額も、65歳で退職した場合よりも少なくなります。   今回は、定年退職を60歳で設定している企業の割合や、60歳で退職をする場合の注意点などについてご紹介します。

60歳で定年退職をする方はどれくらい?

厚生労働省が公表している「令和4年就労条件総合調査の概況」によると、定年制を取り入れている企業のうち定年を60歳としている企業は全体の72.3%でした。一方、定年を65歳までとしている企業は21.1%なので、現段階では60歳の定年退職は珍しいことではないでしょう。
 
しかし、日本では65歳までの雇用機会を確保するように定められているため、今後は65歳を定年とする企業も増える可能性が少なくありません。
 

60歳で退職する場合の注意点

60歳を定年としている企業は多くありますが、実際に60歳で定年退職をしたあとに働かないのであれば、定年退職後の生活は資金面のやりくりを考える必要があります。
 
とくに、年金の受け取り開始は繰上げ受給などをしない限りは65歳からのため、60〜65歳の5年間を過ごせる貯金があったほうがいいといえるでしょう。
 

申請をしない限り年金受給開始は65歳から

年金を受け取れる年齢は、原則65歳とされています。定年退職後に再雇用を利用して働かないのであれば、受け取り開始までに収入のない期間ができるので、注意が必要です。
 
総務省が公表している2023年の「家計調査報告〔家計収支編〕」によると、世帯主が60〜69歳で2人以上の世帯だと、消費支出が毎月平均30万6476円でした。
 
もし専業主婦の妻と暮らしていたら、60〜65歳の5年間は1838万8560円を退職金と貯金だけで賄うことになります。仮に退職金を1000万円もらったとしても、貯金が838万8560円必要です。
 
そのため、60歳の時点で貯金が少ない場合は、65歳まで定年延長をした方が生活に影響があまり出ない可能性もあります。
 

年金額が65歳で退職するときより少ない

老齢厚生年金の受給額は、厚生年金に加入していた期間が長いほど金額も高くなる点が特徴です。60歳で定年退職すると、65歳まで働いたケースよりも厚生年金の加入期間が短くなり、受け取れる老齢厚生年金の金額も少なくなります。
 
これは、老齢厚生年金の金額を求める基礎部分である報酬比例部分の計算が、「平均標準報酬額×加入年時期で定められている割合×加入期間の月数」で求められるためです。少しでも多く年金を受け取りたい場合は、65歳まで働いた方がいいでしょう。
 

60歳での定年退職は珍しくはないが年金受給額は減少する

定年退職の年齢として、60歳は珍しいものではありません。実際、7割以上の企業が60歳の定年退職を採用しています。
 
また、60歳で退職すると、繰り上げ受給をしない場合は65歳までは収入がなくなる可能性が高いため、余裕を持った貯金が必要です。受給できる年金額も65歳まで働いた場合より少なくなります。
 
60歳で退職するのかは、これらのことを考慮したうえで判断しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年就労条件総合調査の概況 結果の概要(12ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要(7ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー