生活保護は、生活に困窮している国民に対して、最低限度の生活を保障するために設けられた制度です。   資産の活用もしたうえで最低生活費よりも収入が下回っている場合は、働いていたり年金収入を得ていたりしていても、生活保護の受給対象になる可能性があります。   今回は、生活保護費の求め方や、年金と最低賃金との比較などをご紹介します。

生活保護費の求め方

生活保護で支給される金額は、最低生活費を基に決められます。世帯収入と最低生活費を比べて、最低生活費を下回っている分が生活保護費として支給されます。
 
最低生活費は、地域ごとに分けられた「級地」と年齢から計算され、以下5つの金額を足した金額が最低生活費となります。


1. 生活扶助基準(第1類)に、逓減率をかけた金額
2. 生活扶助基準(第2類)の金額
3. 生活扶助基準の合計値に特例加算1000円と生活扶助本体における経過的加算を足した金額
4. 児童を養育していたり障がい者がいたりなど特定条件を有する世帯への加算額
5. 住宅扶助基準、教育扶助基準、介護扶助基準、医療扶助基準の合計額

例えば、65歳の単身世帯で、1級地-1に住んでおり5万円の家賃が必要の場合、最低生活費は12万6880円です。
 
級地や年齢ごとの基準額は、厚生労働省のホームページに掲載されている「生活扶助基準額について」より確認できます。なお、特例加算は令和5年10月からの措置です。
 

年金や最低賃金よりも高い?

年金や最低賃金と生活保護費のどちらが高いかは、生活保護を受けている地域や最低生活費によって変動します。今回、年金受給額と最低賃金、そして生活保護の金額を比べるにあたって、条件は以下とします。


・年金額は厚生労働省の令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況」内に記載されている老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた平均受給額とする
・最低賃金は、厚生労働省で公開されている令和4年時点の全国平均とする
・最低賃金の計算は実働8時間を週5日、4週間働いた場合とする
・生活保護費は、生活扶助基準額のみとする
・生活扶助基準額は、東京都品川区のホームページで公開されており、令和5年9月30日までの金額として例示されている65歳高齢者単身世帯の金額とする

条件を基に、それぞれの金額を表1にまとめました。
 
表1

年金 最低賃金 生活扶助基準額
14万4982円 15万3760円 7万6880円

※筆者作成
 
数値でみると、生活扶助基準額よりも年金や最低賃金が高いことが分かります。
 
ただし、今回は生活扶助基準額のみと比べていますが、家賃や医療費、介護費などが生活保護の扶助として足されるケースも少なくありません。すべてを足したときに、最低生活費が年金や最低賃金を上回る可能性はあります。
 

生活保護は受けたほうがよいのか

もし年金収入や働いて得た収入があっても生活に困っている場合は、生活保護の利用も検討しましょう。
 
厚生労働省によると、生活保護の目的は「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長すること」とされています。
 
つまり、生活保護は年齢や収入の有無に関係なく生活に困っている方が利用できる制度です。
 
ただし、生活保護を受けるには、資産は利用できるだけ利用する必要があります。使用していない不動産は売却する、親族などから援助してもらえる場合は援助を受けるなどが挙げられます。資産を活用したうえで、生活に限界を感じている方は自治体の相談窓口へ行き、生活保護を受けたい旨を伝えましょう。
 

生活保護の最低生活費が年金や給料を上回る場合もある

生活保護は、年齢に関係なく生活に困窮している方が利用できる制度です。最低生活費を下回っている分が生活保護費として支給されます。
 
最低生活費は住んでいる場所や医療費、家賃、介護費などによって増えるため、年金収入や給料より金額が大きくなる可能性はゼロではありません。
 
収入があっても、最低生活費に届いていない方なら生活保護は利用可能です。もし年金収入や給料があっても、生活に困っている方は一度自治体の相談窓口へ相談してみましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧 令和5年度地域別最低賃金改定状況
厚生労働省 生活保護制度
品川区 令和5年10月からの生活保護基準の改定について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー