老後資金「1人3000万円」は本当に必要?
2019年に金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を発表しました。この報告書では、夫婦で老後を迎える場合、年金だけでは生活費が不足し、30年間で約2000万円の資金が不足する可能性があるとされています。
これを1人あたりに換算すると約1000万円となりますが、金融庁は審議の過程で「1500万〜3000万円必要」とする独自試算も提示しており、ゆとりある生活や医療・介護費用を考慮すると、「1人3000万円」という金額が一部メディアなどで取り上げられるようになりました。
しかし、実際に必要な老後資金は、生活スタイルや健康状態、住居形態などによって大きく異なります。例えば、持ち家があるか賃貸か、都市部に住むか地方に住むか、また、趣味や旅行などの支出が多いか少ないかによっても必要な金額は変わってきます。
実際の高齢者の貯蓄額はどのくらい?
総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年」によると、65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額の平均は約2462万円、中央値は約1604万円です。平均値は一部の高額貯蓄者によって引き上げられる傾向があるため、実態を把握するには中央値の方が参考になります。
中央値が約1604万円ということは、半数の高齢者世帯がこの金額以下の貯蓄しか持っていないことを示しており、多くの高齢者が「3000万円」には届かない貯蓄額で老後を過ごしていることがわかります。
都市部と地方で老後資金に差はあるのか?
地域によって生活費や収入、貯蓄額には大きな差があります。
例えば、都市部では家賃や物価が高いため、生活費が多くかかります。一方、地方では家賃や一部の生活費が比較的低く抑えられる傾向がありますが、マイカーの維持費など独自の支出も発生します。
大和総研のレポートによると、北陸地方(新潟、富山、福井、石川)の高齢無職世帯では、収入が支出を上回り貯蓄が増えているケースもあり、老後資金の枯渇リスクが低いとされています。
これは、子どもとの同居率が高く、生活費を分担していることや、年金受給額が高いことが要因と考えられます。一方、首都圏や九州の一部地域では、生活費が高く、年金だけでは賄えないケースも多く、老後資金の枯渇リスクが高いと指摘されています。
老後資金は「自分に合った計画」が重要
「老後資金3000万円」という数字は一つの目安に過ぎません。実際には、生活スタイルや住んでいる地域、健康状態などによって必要な金額は大きく異なります。
大切なのは、自分自身のライフプランを見直し、必要な老後資金を把握することです。その上で、早めに貯蓄や資産運用、保険の見直しなどを行い、計画的に準備を進めることが安心した老後生活につながります。
また、地域によって生活費や収入に差があるため、住む場所の選択も老後資金計画の重要な要素となります。都市部での生活を希望する場合は、それに見合った資金計画が必要ですし、地方への移住を検討することで生活費を抑えることも可能です。
老後の生活を安心して過ごすためには、早めの準備と自分に合った計画が不可欠です。将来に向けて、今からできることを一つずつ始めていきましょう。
出典
金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)
株式会社大和総研 老後資金の不足問題は地域ごとに異なる
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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