「ハイブリッド」という言葉から、どんなことを思い浮かべますか? 例えば、ハイブリッド車。電気とガソリンの両方で動かすことのできるクルマです。   ガソリン車よりも割高ですが、電気モーターを組み合わせている分、燃費性能が良くて環境にも優しいといわれます。

語源は「交配種」

もとの英語「hybrid」を英和辞書でひくと、「雑種(の)」、「混成(の)」、「混成語(物)」などと表示されます。ラテン語で「豚と猪の交配種」を表す言葉が語源のようですが、今では2つ以上の機能や特徴を同時に持っているモノやコトを示すことが多いように感じます。
 
日常の暮らしの中でも、車のほかにも食品、衣類、電子機器等々のハード系だけではなく、技術やサービスなどソフトの分野でもハイブリッドはあふれています。そうした中で、ちょっとユニークと思われる実例をいくつか見てみましょう。

【実例1】水陸両用バス

「水陸両用車」は昔からありましたが、軍事用や産業用が中心でした。これを観光等に活用したのが水陸両用バスです。東京都内等では「スカイダック」が定期運行されています(※1)。
 
その1つ「とうきょうスカイツリーコース」は、次のような概要です。
(料金)    大人2900円(消費税込み)
(所要時間)  約90分
(運行状況)  1日3本(木曜日定休)
(運行ルート) 東京スカイツリー駅前発着で、亀戸や西大島を陸上走行し、東大島で旧中川での水上走行を楽しめます。
 
タイヤやサスペンションも水に浸かる構造で、陸上の乗り心地は通常のバスよりもごつごつ感じるかもしれません。
 
しかし、陸地からスロープを下って入水するときのスリル感やそのまま水上を進んでいく非日常感は、普段なかなか味わえないものです。東京以外でも、観光地や各地のイベントで展開されている実績があります。

【実例2】とうふちくわ

鳥取県東部の名産品で、その名のとおりのハイブリッド食品といえます。価格は1本100円台〜200円くらいで、大衆的な郷土食です。
 
その起源は、江戸時代に質素倹約のため豆腐食が奨励され、ぜいたく品の魚すり身に豆腐を加えて誕生したとの俗説もあるようです。
 
「魚すり身を主体に豆腐を混ぜた」イメージながら、配分比率はメーカーにもよりますが[魚すり身3割、豆腐7割]の事例もあります。
 
県東部の鳥取市は、ちくわの1世帯当たり年間支出金額で長らく全国1位を続けていました。原材料が豆腐メインであることなどから、2010年よりとうふちくわはランキング上の食品区分が「他の魚肉練り製品」から「他の大豆製品」分類替えとなりましたが、その前後ともに鳥取市は全国1位だったようです(※2)。
 
本来のちくわのような歯応えやダイレクトな魚のうま味には欠けますが、淡泊な味わいとヘルシーさを評価する声も多く聞きます。

【実例3】ワーケーション

3つ目は、モノではなくコトです。ワーク(仕事)とバケーション(休暇)の合成語ですが、休暇の合間に仕事をすることを意味します。
 
働き方改革の進展に伴い、休み方にも改革の波が押し寄せています。ワーケーションに積極的に取り組んでいる会社も増えています。
 
例えば日本航空では、「新たな働き方により、早朝や夕方以降の時間を社員が自由に過ごすことで、業務への活力につなげることが狙いです。」とし、「旅行の機会を増やし、家族と過ごす時間が増えることが期待されます。」と説明しています(※3)。
 
旅先でも仕事をこなせるので休暇が取りやすくなる効果がある一方で、休みを完全には楽しめないことのデメリットを感じる人もいるでしょう。

まとめ

ほんの3例でしたが、ハイブリッドなモノやコトは、実は昔からそれほど珍しいものではなかった面もあるようです。
 
ハイブリッドは、ネガティブな表現をすれば「中途半端」「どっちつかず」「二兎を追うものは一兎をも得ず」などでしょうか。「いいとこ取り」や「これもあれも」となると、必ずしも否定的ではありません。
 
ポジティブにとらえて「一挙両得」や「一粒で二度おいしい」にすることも、使い方・やり方次第では可能です。いろいろな生活シーンの中で、機能や目的などを“おまとめすること”の効用をときどき考えてみるのも悪くはないでしょう。
 
出典:



 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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