平成30年度の税制改正で可決され、2020年1月より施行されるいわゆる「サラリ−マン増税」、具体的には一体どのような人が対象となり、どのような影響がでるのでしょうか。確認してみましょう!  

サラリ−マンの税金の計算方法とは?

まずサラリ−マンの所得税の計算方法について簡単に説明させていただきます。サラリ−マンが受け取る給料は所得税の所得区分では給与所得者となります。
 
給与収入が2000万円超の人を除けば、大半の方は年末調整で所得税の計算が行われ、確定申告をする必要がありません。なお、給与所得者の所得税の求め方は、おおまかに以下(1)〜(3)のとおりです。
 
(1)給与収入−給与所得控除=給与所得
(2)給与所得−所得控除=課税所得 
(3)課税所得×税率=所得税(税率は所得に応じ5%〜45%)
 
ここでのポイントは給与収入がそのまま所得になるのではなく、給与所得控除という個人事業者でいえば必要経費のようなものが給与所得控除として認められていることです。
 
サラリ−マンは、大半の人は必要経費のようなものがないかあっても少額ですので、給与所得控除の制度(控除の額)は給与所得者に有利な制度といわれていました。
 

改正のポイントは基礎控除額の増額と給与所得控除の縮小。

2020年より、基礎控除が従来の38万円から48万円に引き上げられることとなりました。ただし合計所得が2400万円を超える人は基礎控除額が段階的に減額され、2500万円を超えると基礎控除額が0となります。
 
また、給与所得控除額は、上限額についてはここ数年、何度か上限額が引き下げられておりましたが、2020年においても最低額が65万から55万へと10万円引き下げられました。また上限額も220万から195万に引き下げられています。
 
ただし、850万円超の人の負担をやわらげるために、新たに「所得金額調整控除」が設けられました。これは以下に該当する人に適用され、これらに該当する人はその負担に考慮し、今回の改正から実質的に除外されることとなっています。
 
(1)本人が特別障害者に該当する場合
(2)年齢23才未満の扶養親族がいる場合
(3)特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
 

年収850万円以下の人は取りあえず影響はなし!

上記の通り、今回の改正で増税となるのは、年収が850万円超の方が対象となります。850万円以下の人は給与所得控除が10万円引き下げられたものの、基礎控除が10万円引き上げられましたので、実質的な負担はありません。
 
2018年度の国税庁「民間給与実態統計調査」によると、年収800万円以上の人の割合は1割にも満たないので、大半の給与所得者には影響がないともいえます。
 
高額所得者が狙い撃ちされたのが今回の改正といえるでしょう。その影響額は1000万円の給与所得者の場合、所得税率が20%+住民税10%だとすると、5万円弱程度の増税となります。
 
給与所得控除額は2012年以前は収入金額×5%+170万円と上限がなかったのですが、2013年からは給与所得控除額の上限額は245万円、2016年は230万円、2017年は220万円、そして2020年は195万と上限額が年々引き下げられました。
 
さらには基礎控除までも所得に応じて減額されたりするのは、さすがに行きすぎであるように思えます。
 

サラリ−マンの負担増はいつまで続く?

いかがでしたでしょうか? 今回の所得税の改正について簡単に紹介させていただきました。サラリ−マンの手取り額は、ここ数年、社会保険料の増加や、所得税法の改正などにより、以前と給料が変わらない場合、手取り額が減少することとなります。
 
また消費税も昨年の10月より10%に引き上げられました。国の財政は少子高齢化などで非常に厳しいのも理解できますが、働き盛りの世代の税負担については軽くしていただきたいものですね。
 
執筆者:宮路幸人
税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有

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