新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。混乱は株式市場にも及んでおり、3月には米国のダウ平均株価、日本の日経平均株価がともに過去最大の下げ幅を記録しました。   ところが、このまま暴落が続くものかと思いきや、4月には一転して反発の気配を見せています。もっとも、これから先、株価が上下いずれの方向性に進むかは、まったく予測がつきません。  

1.短期的な上がり下がりは誰にもわからない

証券投資の分野において分析をする、アナリストという専門家による市場の予測を、皆さんも見たことがあるかもしれません。
 
3ヶ月後あるいは半年後の日経平均株価はどれくらい上がっているのか、あるいは下がっているのか、ということを、こうした専門家は常に予測を立てています。しかし、当たることもあれば外れることもあるのが株式市場の常であります。
 
振り返ってみれば新型コロナウイルスの存在が初めて報道された頃、まさかここまで世の中に拡大していく存在になるとは、どれだけの人が予測できたでしょうか。少なくとも、短期的な市場の変動は何が起こるかわからないということは、新型コロナウイルスの例を出すまでもなく、これまでもずっとそれが現実でした。 

2.時間を味方につけた分散投資

株価の短期的な上がり下がりは、誰にもわかりません。しかし、長期的な観点ではどうでしょうか。20年あるいは30年という長いスパンで見ると、人口の増加・技術の発展とともに、世界経済は常に成長し続けてきました。
 
新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされる今の世界においても、20年後あるいは30年後も、やはり世界経済は成長していると期待されています。

3.国が後押しする長期・積立・分散投資

2018年1月から、「つみたてNISA」という制度がスタートしました。これは、毎年40万円までという上限額の範囲内で、一定の投資信託を購入した場合に、その運用益を最大20年間非課税にするという特例制度です。
 
金融庁は、中長期的に投資資金を運用していくことで運用益がさらに増えていくという「複利」の効果に着目し、このつみたてNISAという制度を取り入れました。
 
さらに金融庁は、つみたてNISAを開始するにあたって、制度の対象となる運用商品については、長期・積立・分散投資による複利効果が望める一部のものだけに限定するという、厳選を施しています。金融庁は、国民が時間を味方につけて健全な資産形成ができるよう、猛烈な後押しをしているのです。
 
 

4.今こそ、足並みをそろえて国の制度に乗っかるべき

これまで、日本人には「貯金は美徳」「投資は悪」といった文化が、何となく根付いていた面があります。これは、戦時中あるいは戦後の混乱期において、国が国民に貯蓄を呼びかけたということが大きく影響しています。
 
対して現在、国は、国民に長期・積立・分散投資を求めています。制度設計にあたって金融庁が大幅な介入をしてまで作り上げたつみたてNISAの導入は、国が長期・積立・分散投資の号令を呼びかけているものと受け取ってよいでしょう。
 
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、国民に自粛を呼びかけた政府と、それを尊重して皆で自粛に励んだ協調性のある国が、この日本です。今こそ、国が呼びかけている長期・積立・分散投資の号令にも、皆で足並みをそろえて耳を傾け行動してみる時期かもしれません。
 
執筆者:佐々木達憲
京都市役所前法律事務所弁護士

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