平成29年の日本の婚姻件数60.6万件、離婚件数は21.2万件と、近年、離婚件数が減少しているものの、3組に1組の割合で離婚する時代。シングルマザーが平成27年には123万世帯を超えました(※1)。   ひとり親といっても、離婚、死別、未婚などの原因、さらには女性、男性とさまざまな状況の違いがあります。   しかし、例えば未婚のひとり親の場合、これまで税制上の控除が受けることができない、男女の違いで控除額が違うなど、同じひとり親でも公平ではありませんでした。   ひとり親家族の多様性に対して、公平な税制支援を行う観点から、令和2年度より税制上の措置および寡婦(寡夫)控除の見直しが開始しました。

ひとり親世帯の変化と現状

ひとり親といっても死別、離婚、夫の生死が明らかでない一定の人、未婚など、どのような原因でひとり親になったのかによっても状況が違います。
 
母子世帯になった理由は、離婚が79.5%と最も多く、次いで未婚の母8.7%、死別8.0%となっています。父子世帯になった理由は、離婚が75.6%と最も多く、次いで死別が19.0%となっています(※2)。
 
平成27年、母子のみで生活をしている世帯は約75万世帯、父子のみで生活をしている世帯は約8万世帯にもおよびます(※3)。
 
では、世帯構造の「ひとり親と未婚の子のみの世帯数」の推移はどうなっているのでしょう。
 
 
昭和61年から平成28年の30年間で、2倍弱増えていることがわかります。日本の世帯数が平成29年(2017年)に5042万世帯なので、約7.2%(14世帯に1件)がひとり親世帯ということになります(※4)。

今回の税制上の改正内容とは

今回の税制上の改正の大きな点は「未婚のひとり親」と「男性のひとり親」に対しての点です。
 
今までは、未婚と男性ひとり親に対しての税制上の控除がありませんでした。専門的な言い方で死別・離婚が原因のひとり親を「寡婦(女性)・寡夫(男性)」と呼び、寡婦・寡夫のみが控除対象となっていました。
 
改正内容は「寡婦(女性)・寡夫(男性)」ではないひとり親(未婚)と控除額が低かった「寡夫(男性)のひとり親」の控除額を「寡婦」と同等の控除額にするという点です。
 
所得税控除は寡婦・寡夫ともに死別・離別・未婚すべての原因をひとまとめにして「ひとり親控除」となり、控除が35万円となりました。
 
改正前、未婚のひとり親(男女問わず)は控除なし、死別・離別の男性の控除は27万円だったので、すべてが一律35万円になったことはとても大きな改正です。さらに、改正は所得税だけではなく、住民税の控除もされます。
 
 
しかし、改正によってのデメリットもあります。改正前寡婦(女性)のみ、合計所得金額が500万円より多くても子・子以外の扶養親族があれば27万円の控除がありました。
 
今回の改正により、500万円より多い合計所得金額がある場合、控除は男性同様受けることができなくなりました。

適用時期や注意点

今回の税制改正は、適用時期2020年(令和2年)分以後の個人所得税について適用となります。給与所得者については、令和2年の年末調整の際に適用となるわけです。
 
住民税に関しては前年度分の所得に対して課税されるため、2021年度(令和3年度)分以後の個人住民税について適用となります。
 
注意点ですが、事実婚などで住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある場合、ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても対象外です。また、子は、総所得金額等の合計額が48万円以下でなければ控除されません。

まとめ

教育費、養育費、生活費など、子育ては夫婦がそろっていても大変なことです。ひとり親であればなおさら負担が大きくなります。今回の税制改正は収入の制限はありますが、所得税・住民税の控除として、ひとり親にとってとても大きな改正ではないでしょうか。
 
少子化が進む中、幼稚園の保育費から高等学校・大学の学費まで子育て支援の控除や無償化などが進んでいます。
 
今回の税制改正のみならず、ひとり親、子育てに対しての補助や助成、支援など、支援や悩みの相談する窓口が都道府県さらに市区町村にもあります。悩みや困ったことがあるときは、ぜひ支援窓口、支援センターにご相談ください。
 
(※1)
   
(※2)
(※3)
(※4)
(※5)
 
(参照)



 
執筆者:西川誠司
2級ファイナンシャルプランンニング技能士・AFP認定者、終活ライフケアプランナー、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、キャリアコンサルタント

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