確定拠出年金制度や各種NISA(少額投資非課税制度)を活用し、投資信託で運用している場合、ある程度、相場の変動要因やそれぞれの変動要因がどのように絡み合っているかを理解しておく必要があります。
 
細かく見ていくとかなり複雑になりますが、株式型の投資信託を購入する場合、どのような変動要因をチェックするといいかを簡単にまとめていきたいと思います。

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株価に関係する3つの変動要因

株式型投資信託で運用する場合の相場の変動要因で見ておくべきポイントを絞るなら、次の3つの点(金利・為替・金)を押さえておくといいかもしれません。

〔金利(日本国債利回り)〕 〔為替(ドル・円)〕 〔金〕 〔株価(日本株)〕 上昇 円高・ドル安 上昇 下落 下落 円安・ドル高 下落 上昇

※筆者作成

資産運用に慣れていない方にとっては、この表を見てもよく分からないかもしれません。
見方としては、金利が上がるとドルと円の関係性は円高・ドル安、金価格は上昇する傾向があり、これらを背景に日本株は下落するだろうと考えてみてください。
 
逆に、金利が下がると円安・ドル高、金価格は下落する傾向があり、これらを背景に日本株は上昇するかもしれないという見方です。
このような考え方は、あくまでも教科書どおりの傾向分析ではありますが、簡単にまとめると、おおよそこのような関係性を基に株価は動いているように思います。
このため、株式型の投資信託を購入する場合、事前にこれら3つの点と株価の関係性を知っておくと役に立つかもしれません。
 

金が上がったのに、株価も上がったのはなぜ?

注意しておきたいことは、このような関係性はあくまでも傾向である点です。
世界情勢や世界経済などの状況によって、実際にはこのような関係性が崩れる場合があるため、このとおりになると思わず、1つの目安という感覚で捉えておくようにしましょう。
具体的な例としては、今のようなコロナ禍におけるマーケットは格好の例外テキストになると思います。
 
例えば、金価格が史上最高値を更新したにもかかわらず、株価は下落していない点です。通常、金が買われるのは、「リスクオフ」と呼ばれる、いわゆる「安全資産への資金回避」がその背景にあります。そのような局面では、投資家は将来景気が悪くなると考え、普通なら株式は売られ、株価が下落していきます。
 
しかし、コロナショック後、株式市場は戻り相場となり、反転上昇し続けました。
この現象を逆に考えるなら、株価が反転上昇したわけですから、金価格は下落しなければおかしな話となりますが、それにもかかわらず、株価も金価格も同時に上昇しました。
この背景にあるのは、金価格を考えれば、当然教科書どおりの「安全資産への資金回避」となりますが、同時にカネ余りによる「株式市場への資金回帰」も起こり、株価が上昇したという結論になります。
 
このように資産運用においては、状況によってセオリーどおりにいかない場合が往々にしてあるため、教科書では教えてくれなかった現象が発生した場合に、なぜそうなったかの答えを自分で導き出す力が必要になります。
 

円高だから株価が下がったともいえない場合がある

為替についても見ておきましょう。
ドル・円相場ですが、教科書に即した捉え方としては「円高・ドル安⇒株価下落」、「円安・ドル高⇒株価上昇」というのがセオリーです。
 
これはよく語られることですが、日本が輸出大国で商品を輸出する際に円安なら輸出企業はより儲かり、逆に円高なら為替差損が生じるため損をしてしまうという考え方です。
今の時代、果たして日本が輸出大国なのかという議論もありますが、昔からいわれているセオリーが根付いてしまっているため、あえてこれを軸に考えていきます。
 
コロナショックにおいては為替相場は円高・ドル安となり、株価は急落しました。
これは日本円という安全資産が必要とされ、日本円の価値が高まったことによる円高・ドル安ですが、日本から商品を輸出する場合、為替差損を被る可能性が高まることから、同時に株式が売られたことになります。
 
これについてはセオリーどおりといえますが、コロナ禍における株式市場の急落は、本質的には世界経済の急減速懸念であるため、為替が円高・ドル安になったのは、むしろ株価急落が原因ではなく、単に同時に起こった現象といえます。
 
このため、厳密にいうならば、為替が円高・ドル安になったから株価が下がったというわけではなく、この意味では教科書どおりではないということができます。
このように一見、教科書どおりに見えることでも、因果関係が成り立っていないケースもあるため、単純に「〇〇だから〇〇になる」という捉え方が正しいわけではありません。
 

まとめ

相場の変動要因とそれぞれの変動要因がどのように絡み合っているかは、本来複雑なものです。私たちは複雑なものを法則化し、単純化して捉えようとしてしまうため、そこに無理が生じてしまうような気がします。
 
このため、複雑なものは複雑に理解した方が結果的に合理的な理解につながりやすくなることがあります。
 
簡単に理解しようという風潮が広がっていますが、ここには目に見えない落とし穴がたくさん存在しているため、資産運用を例に取ってはいますが、しっかりと自分で考えていきたいと思う場合は、時間をかけながらコツコツと経験を積み学ぶ方が、後で振り返ると近道になるように思います。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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