今さらのことですが、私たちの日常にはいろいろな数字があふれています。そして、細かい数字につきものなのが「端数処理」。切り捨て、切り上げ、四捨五入、どうするかはルール次第です。
 
多くの場合、端数処理の対象は1円未満や10円未満などの金額帯です。端数処理をしてもしなくても大した差は発生しないイメージが強いのですが、こちらはどうなのでしょうか。

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要は“決めの問題”

端数処理は、要は“決めの問題”です。「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」では債務の支払金について、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は切り上げて1円とするとしています。ただし、特約があるときはそれに従います。
 
また、国や公庫等が受け取りや支払いをする場合は「国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律」に切り捨てや切り上げが定められています。
 
そのほか日常のいろいろなシーンでのルールでも、トータルではせいぜい「数円」程度の範囲に収まるケースが多いためか、端数処理を気にすることは普段はとても少ないでしょう。
 

「数円」程度の範囲に収まらない端数処理もある?

ところが、コロナ禍における政府の景気対策の1つである「Go To トラベル事業」では、結構大きな端数処理がおこなわれています。
 
この事業は、宿泊を伴う、または日帰りの国内旅行の代金総額の2分の1相当額を国が支援するもので、給付上限額は宿泊旅行で1泊2万円、日帰り旅行で1万円です。給付額のうち70%は旅行代金から割り引かれ、30%は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与されます。
 
給付上限内であれば、旅行代金の35%分が直接割引されるとともに、15%分のクーポンがもらえる仕組みです。ところが、それぞれの端数処理の仕方は大きく違っています。割引は1円単位でされる一方で、付与するクーポンの金額算定は何と500円単位での四捨五入なのです。
 
この事業に関する観光庁の「Go To トラベル事業」(2020年11月12日時点版 ※)では、地域共通クーポンについて「1枚1000円単位で発行する商品券。お釣りなし」、そして「1000円未満の端数が生じる場合は四捨五入。端数が500円以上の場合は1000円のクーポンが付与」と説明されています。
 
具体的な数字で見てみると、旅行代金が1円違うだけで次のように大きな差が発生する場合があることになります。
[旅行代金] [直接割引額] [クーポン付与額] [支援額合計(支援率)]
◇3333円    1166円       なし         1166円(35%)
◇3334円    1166円      1000円        2166円(65%)
 
どうしてこんなことになるのか。クーポン付与は1000円未満の端数を四捨五入するルールだからです。
◇3333円 × 15% = 499.95円 < 500円 ⇒ クーポン付与なし
◇3334円 × 15% = 500.10円 > 500円 ⇒ クーポン1000円を付与
 
このようになってしまうのは、地域共通クーポンが1000円単位で発行・管理されているから。また、お釣りも出ない形で制度設計されています。
 
お釣りが出ると、1000円のクーポンで100円の商品を買えば900円の現金が手に入ってしまいます。このように釣り銭が旅行者の“現金益”になることを避けなければなりません。
 
また支援金を後日精算する際の事務手間も小さくするため、さらに期間限定の事業でもあるので、このように仕組みを簡素化するのはやむをえない側面があるのかもしれません。
 
実際には、旅行代金はもっと金額がかさむケースが多いでしょう。例えば、同じような内容の日帰りバスツアーで旅行代金が[A社9900円、B社1万円]の場合だったらどちらを選びますか。
 
1万円の大台を切ったA社のほうが一見おトクそうですが、クーポンの付与額は次のように実は[A社1000円、B社2000円]と大違いで、表面の価格差100円や直接割引額の差35円は、あっという間に逆転してしまいます。
◇A社: 9900円 × 15% = 1485円  ⇒ クーポン1000円を付与
◇B社: 1万円  × 15% = 1500円  ⇒ クーポン2000円を付与
 

まとめ

繰り返しになりますが、端数処理は、要は“決めの問題”です。そして、してもしなくてもその差はせいぜい「数円」程度の範囲に収まるイメージの強い端数処理ですが、Go To トラベル事業の地域共通クーポンは、やや例外かもしれません。
 
1泊4万円以内や日帰り2万円以内の旅行代金で、その15%相当の金額を計算してみて、1000円未満の端数が500円を超えるかどうか。
 
こういった微妙な価格帯の旅行商品では、旅行代金が少しだけ高いものを選んだほうが、クーポン付与額まで考慮すると結果的に割安につくことも大いにありえます。この事業が再開や延長をされたときに、ちょっぴり参考になるかもしれません。
 
[出典]

 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
 

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