菅総理大臣は、2020年10月26日に国会で行った所信表明演説において「不妊治療の保険適用」と「助成措置の大幅な拡大」について言及しました(※1)。今回は、不妊治療の実態と拡大された支援策について解説します。

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不妊治療の実態

1.全出生児の約16人に1人が不妊治療(生殖補助医療)による出生児

2018年の統計データによると、全出生児(91万8400人)の6.2%に当たる5万6979人が不妊治療(生殖補助医療)により誕生しており、この割合は新生児約16人に1人に相当します(※2、※3)。
 
10年前の2008年は不妊治療(生殖補助医療)による出生児の数が2万1704人、全出生児に対する割合が2.0%だったので、実に10年で約2.6倍、全出生児に占める割合が約3.1倍になっており、今後も増え続けるものと考えられます。
 

 

2.子どものいない夫婦の約3割が不妊治療を経験

2015年の調査では、不妊を心配したことのある夫婦の割合は全体で35.0%と10年前(25.8%)より約9%増加しています。さらに、子どものいない夫婦に限ってみると、その割合は55.2%(10年前は44.7%)に上っています。
 
また、不妊の検査や治療を受けた夫婦の割合は、全体で18.2%と10年前(13.4%)より約5%増加しており、子どものいない夫婦では28.2%(10年前は24.3%)と、約3.5組に1組が治療を受けていることになります(※4)。
 

 

不妊治療の流れと国の助成

1.不妊治療の流れ

不妊治療は、不妊を心配する夫婦が検査を受けることから始まります。そして、検査によって不妊の原因となる疾患が明らかになった場合は、原因に応じて薬による治療や手術が行われます。
 
検査の結果から原因が分からない機能性不妊の場合や治療が奏功しない場合は、人工授精や生殖補助医療などが行われます。生殖補助医療には、卵子と精子を取り出して体の外で受精させてから子宮内に戻す体外受精や顕微授精があります。また、男性に対する治療として顕微鏡下精巣内精子回収法があります(※5)。
 

 

2.不妊治療に対する国の助成

不妊治療において、検査と原因の治療には保険が適用されますが、それ以外の治療には保険が適用されません。そこで国では、生殖補助医療と男性に対する治療を特定不妊治療として費用の一部を助成する制度を設けています。この助成制度の概要は、以下のとおりです(※6)。
 
(1)対象者
体外受精・顕微授精以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された、法律上婚姻をしている夫婦
 
(2)所得制限
夫婦合算の所得額が730万円未満
 
(3)助成限度額
1回15万円※凍結胚移植(採卵を伴わないもの)および採卵したが卵が得られないなどのため中止した場合は1回7万5000円
ただし、初回は30万円※凍結胚移植(採卵を伴わないもの)などは除く
 
(4)対象年齢
妻の年齢が43歳未満
 
(5)助成回数
初回治療時の妻の年齢40歳未満:通算6回まで
初回治療時の妻の年齢40歳以上43歳未満:通算3回まで
 
なお、保険が適用されない人工授精は、経費の負担が軽いため助成の対象とはなっていません。
 

2021年1月から助成金制度が拡充されました

政府は、2020年度の第3次補正予算案に特定不妊治療の経費を計上し、下表のとおり特定不妊治療に対する助成制度が拡充されました。なお、新たな制度が適用されるのは、2021年1月1日以降に終了する治療が対象となります(※7)。
 

 

まとめ

不妊治療、特に生殖補助医療などの特定不妊治療により誕生した新生児は年々増えており、2018年には全新生児の約16人に1人の割合となっています。また、不妊治療の経験を持つ夫婦の数も約3割に達しており、不妊治療に対する支援策が充実されることが望まれています。
 
そのような中で、現政権は、補正予算で助成金制度を拡充し、将来は特定不妊治療も保険適用できるように検討を進めています。
 
出典







 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
 

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