私たちに最も身近な金融機関の1つが銀行です。誰もが銀行口座を持ち、決済や貯蓄といった銀行のサービスを利用していることでしょう。あまりに生活に溶け込んでいるため、預金が金融商品の1つという認識がない人も多いのではないでしょうか。

そんな生活に欠かせない銀行ですが、日本で最初にできた銀行をご存じでしょうか。渋沢栄一が設立した「第一国立銀行」がそれにあたり、1873年6月11日に誕生しました。第一国立銀行は現在のみずほ銀行の起源でもあり、同行は今日から創業150年目を迎えます。

今日は金融の中心、銀行についてその歴史と役割を押さえましょう。

日本銀行よりも早く誕生

第一国立銀行ができた1873年は近代日本の黎明期でした。武士社会が終焉を迎えた大政奉還(1867年)のわずか6年後のことです。

およそ700年も続いた武士政権が終わったばかりの日本に近代的な銀行が誕生したのは、渋沢栄一の功績が大きいといわれています。渋沢栄一は幕府仕官時代にヨーロッパを視察しており、欧米の先進的な社会を目にしていました。帰国後は日本の殖産興業を推し進め、設立に携わった会社の数はおよそ500にも上るといわれています。

「国立」と冠されていますが、第一国立銀行の実態は民間銀行であり、日本最初の株式会社でもありました。中央銀行である日本銀行が創立されたのは1882年のことなので、第一国立銀行は9年も先んじて設立されていたことになります。その後、第一国立銀行は1971年に日本勧業銀行と合併し「第一勧業銀行」となりました。

第一国立銀行に遅れること7年、“銀行王”安田善次郎が「合本安田銀行」を設立します。1923年には関係銀行11行が合併し、新安田銀行として日本最大の銀行が生まれました。同行は戦後の財閥解体を受け「富士銀行」に変更されます。

そして1999年、第一勧業銀行と富士銀行の両行に「日本興業銀行」を合わせた3行は全面的な統合を発表し、現在のみずほ銀行が誕生しました。

みずほ銀行を中核に持つみずほフィナンシャルグループは世界的に見ても規模が大きく、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループと同じくG-SIFIs(※)にも名を連ねています。

※G-SIFIs(ジーシフィーズ):「Global Systemically Important Financial Institutions」の略で、金融安定理事会(FSB)が認定する国際システム上重要な金融機関のこと。

自己資本比率1ケタ! 銀行の負債が大きい理由

決算書を見ると自己資本比率が10%台前半、中には1ケタ台となっている銀行が見つかります。

自己資本比率1ケタということは資本の90%以上が負債ということ。2021年3月期における上場企業(東証一部・二部・マザーズ・JASDAQの全産業)の自己資本比率平均は30.44%のため、1ケタ(=10%未満)というのはいかにも低いように感じられますね。銀行は大切なお金を預ける場所なだけに、少し心配になる人もいるかもしれません。

確かに自己資本比率は大きいほど安全性が高いといえます。しかし銀行の場合、預金が負債に計上されるためどうしても自己資本比率が低くなりやすいという点は割り引いて考えましょう。

銀行側から見ると、預金は私たち預金者の求めに応じ、将来のいずれかの時点では支払わなければいけないお金です。つまり将来的には銀行から出ていくお金のため、預金は銀行にとって負債として扱われるのです。

銀行の自己資本比率は基本的に8%を上回っているなら十分高いと考えられます。国際的な取り決めにより、国際業務を行う銀行の自己資本比率は最低でも8%を割り込んではいけないと定められました。言い換えれば自己資本比率が8%以上ある銀行は国際業務に耐え得る財務体質を持っているということです。

信託銀行や投資銀行…銀行の種類を総チェック!

銀行といってもその種類はさまざまです。以下に整理したので参考にしてください。

都市銀行、地方銀行、第二地方銀行

「都市銀行」は都市部に本店を置き全国に広く展開している銀行を指します。特にみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の3行は合わせて「メガバンク」と呼ぶことが一般的です。

「地方銀行」は各地方を中心に展開している銀行で、「第二地方銀行」は同じく地方を中心に活動していた「相互銀行」という形態が1989年に転換したものです。

出所:金融庁 銀行免許一覧

信託銀行

信託銀行は通常の銀行業務に加え、「信託業務」と「併営業務」を営むことができる銀行です。信託業務はお金のほか株式や不動産のように価値があるものを預かり管理・運用する業務を指し、併営業務は遺言の執行や不動産売買の仲介といった財産の管理・処分などを行う業務をいいます。

一般的な銀行と違い、預かるのはお金だけではありません。また遺言信託のように、預け入れ時点で将来のお金の流れについて事前に指定しておくことも可能です。資産運用や管理についてより高度に相談できる銀行といえるでしょう。

投資銀行

投資銀行は日本に見られない形態の銀行で、株式や債券の発行といった証券業を営みます。したがって銀行というより証券会社の方がイメージに近いかもしれません。

日本の金融業界は銀行法や保険業法、金融商品取引法などで縦割りに法整備が進んだため、通常の銀行業務のほか証券業務まで横断的にサービスを提供する銀行が育たなかったといわれています。したがって投資銀行というと外資系金融機関をイメージする人も多いかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。