相談者のプロフィールとお金データ

【竹田 修さん(仮名)プロフィール】
・年齢:33歳
・都道府県:東京都
・家族構成:妻と2人で暮らす
・職業:会社員(IT系)

【寄せられたお悩み】
「一般NISAの口座を開設したばかり。いざ、投資信託を選ぼうと思うと『分配金』というワードをよく目にして、気になります。投資信託によって、分配金があるファンドとないファンドがあるようで……。老後に向け、資産を増やすにあたってはどの方法がベストかお聞きしたいです」

【お悩みの論点】
①分配金とは何かを確認したい。
②投資信託の分配金は受け取らないほうがよい?

資産状況や収入状況

世帯の金融資産額:1200万円
内訳
預貯金:1200万円

収支
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:40万円
・手取りの年収:480万円

・毎月の支出:40万円

<支出内訳>
住居費11万円、水道光熱費3万円、食費7万円、交通費2万円、通信費3万円、貯金8万円、趣味2万円、交際費2万円、その他2万円

NISA(少額投資非課税制度)のうち、一般NISAを活用しながら、投資信託で投資をしたい竹田さん。投資信託は実に多くのファンドが販売されていますが、気になったのは分配金が受け取れるというファンド(分配型ファンド)。確かに「おトク」そうな響きですよね。

ただメリットばかりでもないのです。そのあたりを中心に解説していきます。

分配金が受けられるファンドがある

NISAで株式や投資信託に投資した際、その運用益に対して、非課税となります。現在、一般NISAの非課税投資枠は年間120万円となり、投資した年から5年間が非課税運用期間となります(※2024年から新NISAへ移行。後述します)。

投資信託は、基準価額の上昇後に売却することで利益を得ることができ、NISAにより売却益が非課税になりますが、運用収益を投資家に還元するための分配金が支払われるファンドもあります。毎月分配金を受けられるファンドもあれば、半年に1回分配されるファンド、年1回分配されるファンドもあります。

分配金が出た場合、そのもらい方には「受取型」と「再投資型」があります。

分配金の「受取型」とは

投資信託の基準価額が上がり、竹田さんの個別元本を上回る部分から支払われるのが「普通分配金」です。普通分配金を「受取型」で受け取った場合、その部分は利益となり、本来課税対象(税率20.315%)となりますが、NISAを活用すると非課税となります。

「受取型」で現金で受け取ると、その分、“短期間”で利益を確保できます。しかし、分配金が支払われた分、その投資信託の純資産総額が減り、さらに基準価額が減ってしまうことになるため、その後の運用効率が落ちてしまい、長期的には複利効果は得られにくいというデメリットもあります。

さらに、注意したいのは分配金の中には元本払戻金(特別分配金)もある点です。元本払戻金とは、分配金を支払う際に基準価額が下がり、個別元本までも下回った場合の「下回った部分」のお金を指します。

元本払戻金はこの名の通り、元本の払い戻しであるため、利益ではなく、受け取っても元々非課税ですので、NISAによる非課税のメリットを享受できません。また、元本払戻金を受け取ることによって個別元本は減っているので、やはり将来の運用効果は薄れてしまいます。毎月分配型の場合で運用が上手くいっていない時期が続くと、毎月元本払戻金ばかりを受け取ることになってしまうでしょう。

従って、“長期的”な運用を考えると分配金の「受取型」は選ばないほうがよいと言えます。

配当金の「再投資型」とは

分配型ファンドの分配金の受け取り方には「再投資型」もあります。現金で受け取ることなく、その分同じ投資信託を購入することです。

再投資を選択することで、その分配金の額での口数分を購入手数料が掛かることなく、自動的に購入することができます。これによって、投資の規模も大きくなり、分配金を受け取るよりも長期的に運用益も増えます。

分配金を再投資するとNISAの枠を消費してしまう盲点に注意

しかし、この「再投資型」もNISAで投資する場合は特に要注意です。

分配金を受け取らず再投資した場合、新たな投資を行うことになってしまうため、その分のNISAの非課税枠を使ってしまうことになります。

毎月決算・毎月分配型のファンドで毎月再投資を行うことになると、気が付いたら非課税投資枠を多く消費してしまうこともあるでしょう。すでに1年間の非課税枠(120万円)を全て使って投資している場合は、非課税枠で再投資することができなくなります。非課税枠を超えた分は課税口座で再投資がされるといった扱いになります(金融機関によって異なります)。

また、先ほどもお伝えした通り、元本払戻金は元本の払い戻しとなりますが、払い戻されたからといって、その分、その年の非課税枠が戻るわけではなく、非課税枠は使ったままの扱いとなってしまいます。

そのため、分配型ファンドを選ばれる場合は分配金の受取型 or 再投資型の選択と、再投資型を選んだ場合には非課税枠の“消費ペース”に目を配ることが重要になってきます。

ここまでは分配金がある場合の話をしてきました。

ただ、竹田さんご自身も冒頭の「お悩み」の箇所で、「分配金がないファンドもある」とおっしゃっている通り、そもそもの話にはなりますが「極力分配金を支払わない方針(≒分配金がない)」の投資信託を選ぶという考え方もご紹介します。

※「無配当型投資信託」と呼ばれる投資信託もありますが、一定期間しか購入できない「単位型」の投資信託にほぼ限られます。ただ、今回のご相談で扱い、実際に多くの方が購入しやすいのは「追加型(オープン型)投資信託」で、そのほとんどは「信託期間が無期限」のため、「極力支払わない方針」という表現になります。

分配金の再投資によって先述の通り“図らずも”NISAの非課税枠を使ってしまう事態を避けつつ、複利効果を狙うにはこちらもおすすめです。

そんな「極力分配金を支払わない方針の投資信託」はどう探せばいいのでしょうか。結論から言えば「目論見書で決算回数、収益分配方針、過去の分配実績を確認する」になります。

分配金の有無や金額を決める決算の回数は高頻度のものよりも、年1〜2回のほうが分配金が払われる可能性が低くなります。

続いて、目論見書の「収益分配方針」の項目でその投資信託の分配金のスタンスを確認します。併せて過去の分配実績も見て、基準価額が上がっていても分配金「0円」であれば、あくまで過去の実績にはなりますが、確かに方針通りに分配金を抑制してきたのだろうと確認できます。

また、こうした「極力分配金を支払わない方針の投資信託」は「つみたてNISA」の商品ラインナップに多く、今後は「一般NISA」から、「つみたてNISA」口座に変更するのも一考に値します(一般NISA継続かつみたてNISAに変えるかは、投資信託以外に個別株も所有されたいか、1年あたりどれほどの投資額が出せるかによりますので、ご参考までにお伝えしました)。

新NISAになる中で中長期的な運用

このまま、一般NISAを継続される場合は、2024年から新NISAに“衣替え”されることもぜひ念頭に置いてください(新NISAの投資期間は2024年〜2028年)。

新NISAは2階建てで、非課税投資枠の合計が年間122万円となり、1階部分は年間20万円の非課税枠で、つみたてNISAの投資対象となる、長期の積立・分散投資に適していると国が定めた投資信託等が対象です。そのため、毎月分配型のファンドは対象外とされています。

一方、2階部分の投資対象は現在の一般NISAとほぼ同じですが、レバレッジ型投資信託は除外される予定です。また非課税投資枠の上限は年間102万円になります。2023年までに購入した投資信託について、5年の非課税期間終了後、新NISAに移管(ロールオーバー)することも可能です。

33歳でお若い竹田さんは老後を見据えた中長期の運用をご希望とのこと。時間もたっぷりあります。分配金の特徴も踏まえ、NISA制度を最大限活用しながら資産を増やせれば理想ですね。